ミセルチカラの磨き方

2025/06/27

「任せる勇気」が会社を育てる 〜社員に仕事を託せない社長が乗り越えるべき壁〜

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

社員に仕事を託せない社長が乗り越えるべき壁

「社員に仕事を任せる」という経営者の通過儀礼

 

「社員に仕事を任せることが大事だ」と頭では分かっていても、いざ実践となると、なかなか踏み出せないものです。

自分がやったほうが早い

失敗されたら取り返しがつかない

そんな思いがよぎって、結局また自分が手を動かしてしまう。

 

でも、それを続けていると、いつまで経っても社長が現場から抜けられず、結果として経営者として本来やるべきことが後回しになります。気がつけば、毎日が「忙しいのに前に進んでいない」という悪循環。

多くの経営者がぶつかるこの壁を越えるには、「社員に任せる」ことを技術として捉える視点が必要です。そしてもう一つ、もっと根っこにある「感情」に目を向けることが、大きな突破口になります。

 

社員に任せる3つのステップと、その「心理的ハードル」

 

  • ステップ1:権限は渡すが、責任は背負わせない

最初の一歩は、安心して失敗できる場をつくること。

「任せる」と言っても、社員にとってはプレッシャーです。どんなに優秀そうに見える人でも、「失敗したらどうしよう」と内心ビクビクしているもの。

だからこそ、まずは「結果がどうなっても責任は俺が取る」と、社長が背中で示すことが大事。そうすることで、社員は初めて新しいことにチャレンジできる余裕を持てます。

ここでありがちなのが、「権限も責任も一緒に丸投げしてしまう」ケース。これは「任せている」のではなく「放り投げている」状態です。結果として社員は委縮し、無難な仕事しかしなくなってしまいます。

 

  • ステップ2:権限を委譲し、説明責任を持たせる

ある程度慣れてきたら、今度は「仕事の全体像」を任せてみましょう。

プロジェクト単位で、計画から実行までやらせる。ただし、この段階では「報告・連絡・相談」はセットです。任せる=放任ではなく、「なぜそうしたのか」を言語化させることで、思考の質が上がります。

ここでも重要なのは、失敗したときに「だから言っただろ」と言わないこと。報告がしづらくなると、隠すようになります。結果的に「なぜ失敗したか」が見えず、育成の機会を失ってしまいます。

 

  • ステップ3:権限も責任も委譲する

最終段階では、プロセスも結果も本人に任せる。成果が出ればしっかり評価し、失敗したときはその責任も自覚してもらう。

これは、信頼関係ができてこそ機能します。大事なのは、任せたら途中で細かく口を出さず、定期的なチェックインの場だけ設けておくこと。社長は「口出し役」ではなく「聞き役」になることが求められます。

 

社員に任せられない本当の理由

 

ステップに沿って進めれば、理屈では「任せられる」はず。でも、多くの社長がそこに踏み出せない理由は、実は感情の中にあります。

任せて失敗されたら、あのとき『自分でやっておけばよかった』と後悔するのが嫌だ

この感情、よく分かります。経営者として責任感が強ければ強いほど、「最初から自分でやっておけばよかった」と思いたくない。その後悔が怖いから、つい手を出してしまう。

でも、ここを乗り越えなければ、会社の成長も、社員の成長も、そして社長自身の自由も手に入りません。

 

「任せる勇気」は自分自身を信じる勇気

 

任せるとは、「社員を信じる」ことではありますが、同時に「自分自身を信じる」ことでもあります。

たとえ任せた仕事で失敗があっても、それを巻き返せる自分がいる。その経験を通して、社員が確実に育っていくという未来が見えている。

そんな信じる土台があって初めて、任せる勇気が湧いてきます。

 

「自分でやったほうが早い」と言い続けるか、「任せたほうが未来が広がる」と踏み出すか。

ぜひ、後者を選んでみましょう。

社員の成長が、あなたの時間と心の余白を生み出し、経営者として本当にやるべきことに集中できる未来を、きっと拓いてくれます。


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