ミセルチカラの磨き方
社長が部下のイエスマンであるのが理想の会社?
社員の判断力を磨いて、正しい進言を導くには、社長が部下のイエスマンになって会社が成長する状況になるまで、社員を信じて粘り強く待ち続けることが必要です。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
上司の命令には絶対服従。
軍隊に関してそんなイメージを持っていましたが、先日元自衛隊幹部だった方のお話をお聞きすると、実態は大きく違うことが分かりました。
例えば、潜水艦の艦長。部下が艦長に進言し、艦長は部下の進言に対して、「了解」もしくは「待て」という指示のみを出すのが基本だそうです。
つまり、部下は「これどうしましょうか?」と上司に相談するのではなく、現状を把握し、状況を分析した上で、「私はこうするのが正しいと思います」とリコメンドし、その進言を受けて、上司がYesか、Noかを決断するという訳です。
この話をあるクライアントさんにしたところ、「ウチもそうありたいですね」と苦笑されていました。
おそらく自衛隊では、人材教育の一環として、情報分析力だけではなく、情報分析に基づく判断力を日頃から鍛えているのかと思われます。
今はIT技術の発達もあって、情報分析については、より正確、かつ、よりスピーディに結果が出る状況になりつつあります。AI(人工知能)が普及すれば、余計な人の感情が入らない分、さらに客観的に情報分析することも可能になります。
一方で、出てきた情報を基にどう判断するかについては、最終的には人が行うものであるため、コンピュータのようにすぐに進化するものではありません。的確な判断力を身につけるには、半年、1年、時には3年、5年と時間がかかります。また、まったく同じ状況というのは存在しないので、「これで大丈夫だ」と考えて出した結論が実は不正解だったということも起こります。
つまり、判断力を磨くには時間も手間もかかるのです。それゆえ、かなり面倒くさいので、人に判断を委ねてしまったり、判断力を身につけさせるプロセスを飛ばしてしまったりする傾向があります。
担当者より課長、課長より部長、部長より社長が判断した方が、より早く結論が出るし、効率的です。
けれども、人を育てるという観点から見ると、
目先の業務効率ばかりに目が行く
↓
仕事で判断できる人材が育たない
↓
判断する人が増えないので、業務が非効率となる
↓
長期的に会社が成長しない
というサイクルに入る恐れがあります。
自分の会社を振り返った時に、常に自分だけが判断しているということはないでしょうか。
人材育成は忍耐を伴う長期戦。
社員の判断力を磨いて、正しい進言を導くには、社員の成長を信じて、粘り強く待ち続ける気長さが求められます。
こう考えてくると、社長が部下の進言に常にYESと言って、会社が成長し続ける状況が本当は理想なのかもしれませんね。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。