ミセルチカラの磨き方

2023/10/06

テンプレート通りのやり方の可能性と限界を見極める

カテゴリー :マーケティング

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

テンプレート通りのやり方の可能性と限界
面倒くさいことはしない

これは前職のベンチャー企業が行動規範の一つとして掲げていたものです。


皆さんが「面倒くさい」と考えることは何でしょうか?

私の場合は経理業務は面倒な仕事の一つ。

ただ、「面倒くさいことはしない」という訳にはいかないので、弊社では設立以来税理士事務所にお願いして、毎月の試算表や決算手続に対応しています。


人によって「面倒くさい」と考えることは違います。

そして、「Aさんにとって面倒くさいこと=Bさんが得意なこと」であれば、そこでビジネスが成り立つ可能性があります。


マーケティングでは「相手が困っていることを聞こう」と言われます。しかしながら、相手との信頼関係が築かれていない状況で、「何かお困りごとはありますか?」と質問しても、本音の部分を話してくれません。

一方、「最近面倒くさいと感じたことはありますか?」という質問なら、お困りごとをストレートに聞くよりも少しはハードルが下がります。


そして、「面倒くさいこと=基本的にはやりたくないけれど、何らかの方法でやらざるを得ないこと」なので、次に「どのようなところが面倒くさいと思われますか?」と質問することで、

・先方が解決したいと考えている問題

・先方の嗜好(例:細かい数字には興味なし)

が段々と分かってきます。


これは質問の仕方の応用例の一つですが、最近はマーケティングでもテンプレートが流行っていて「このテンプレート通りやれば必ずできます」といった宣伝文句が飛び交っています。

情報弱者の人や、まだビジネスに慣れていない人に対しては、テンプレート通り、型通りのやり方で通用する可能性はあります。

しかしながら、相手が一定のビジネス経験のある人の場合は、テンプレート通りの対応では「また、このパターンか」とかえってこちらの評価を下げる恐れもあります。


ちなみに、冒頭でご紹介した「面倒くさいことはしない」という行動規範。

その文言を記載した事業計画書を持って、ある投資家に説明に行った際、その方はこの部分の記述を見た段階で「この会社はダメ!」と言って、それ以降の説明をさせてもらえませんでした。


後日、その方に理由をお伺いしたところ

「面倒くさいことはしない」というのは一見すると耳触りがよく、格好良いことにも聞こえる
 ↓
しかし、ベンチャー企業の場合には、面倒でも何とかして乗り越えなければならない壁がある
 ↓
そのことを経営者はどこまで分かった上で、この行動規範としているかに疑問と懸念を感じた

とのことでした。


事業計画書を持って説明に行った際は「どうして最後まで話も聞いてくれないのか」と少し腹が立ちました。

けれども、勤めていた先が2億円の資金調達には成功したものの、最終的には事実上の倒産まで追い込まれた事実から考えると、その投資家の判断は正しかったことが分かります。


いろいろと書いてきましたが、私が申し上げたかったことは「『誰を対象とするか』で求められるものが違う」ということ。

情報弱者相手であればテンプレートを使った手法も有効ですが、経験豊富な経営者相手であれば、そのやり方が通用するとは限りません。事業計画も銀行向けに出すのか、投資家向けに出すのかによって、書くべき内容や数字の見せ方も変わってきます。

「自分がやりたいこと&自分ができること」で「自分が価値があると信じていること」を明確にした後、「その価値を発揮できるのはどのような市場か」を決めることで、何を提供したら良いのかがハッキリします。


まさに「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。

長きに渡って言い伝えられている名言やことわざは人の本質をついたものばかり。

一方で、ここ何年かでよく耳にしたり、目に触れたりする教えの中には一時的、表層的な内容も多いので気をつけましょう。


なお、成果の得られないノウハウに振り回されることにウンザリされている方は「こちら」で解決できます。

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