ミセルチカラの磨き方
決算作業中でも止まらない経営─「2ヵ月の空白」を埋める実践知
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
この時期、3月決算の会社では前期の決算の数字を締める作業でお忙しいかもしれませんね。
毎月月次決算をきちんとやっている会社でも、決算作業が加わると、税金の計算を行う関係もあり
・この売上は前期の分か、それとも今期の分か?
・毎月20日締めで支払いをしている場合、総額500万円のうち、前期に計上すべき金額はいくらになるのか?
といったことを正確に把握する必要があります。
このため、5月末時点で決算の数字が固まり、税金を納めたとしても、「今期の数字である4月と5月の試算表はまだこれから作る」といった状況が生まれます。
顧問税理士の先生にすれば、税務上問題のない決算書を作るのが最優先です。このため、会社側が今期の月次決算に必要な資料を送っても、「4月や5月の数字は決算作業が終わってから」となるのが普通です。
したがって、毎年会社の期末から2ヵ月間は「会社の直近の数字を把握しづらい」状況が生まれます。
銀行が融資を検討する際にも、まずは決算書の数字を見るので、決算書を正しく作成することは大事です。一方、決算書は過去の数字。決算書をいかに正確に作っても、5月末では2ヵ月前の数字なので、今日の行動につなげる足元のデータとしては古いと言わざるを得ません。
このため、会社としては
- 決算作業にかける労力をできるだけ減らし、決算数字を早めに締める
- 決算作業中でも、手元の数字を概算でも把握する
ことが求められます。
決算数字を早めに締めるためには、「決算作業で何に時間が掛かっているのか?」をまず把握することが大事。そして、「時間の掛かっている項目を、どうすれば改善できるかを考えて対策を打つ」ことが次のステップになります。
あるクライアントさんでは、商品在庫の数字を最終的に固めるのに時間がかかったことが判明しました。これは在庫の棚卸しを毎月やっていなかったことが要因だったので、今期からは「簡易的でも毎月在庫の棚卸しを行う」ことを決めました。
決算数字を早めに締めるには期末の前後だけ頑張ってもなかなか改善できません。そして、毎月やっていないことを最後にまとめてやろうとすると、余計な時間と手間が掛かるので、早めに対策を実行しないと、来年も同じことが起こります。
一方、「決算作業中でも、手元の数字を概算でも把握する」に関しては、少なくとも資金繰り表をアップデートしましょう。
前述のように、期末直後の月次試算表は税理士の先生にお願いしても、作成に時間がかかるケースがあります。しかしながら、資金繰り表は現預金の入り払いなので、支払うべき税金の金額を概算でつかんでいれば、会社だけで作成することは可能です。
特に資金繰りをギリギリで回している会社の場合は、決算作業と並行して向こう3ヵ月ぐらいの資金繰りの見込みを出しておかないと、資金調達が後手に回る恐れがあります。
そして、経理や財務が決算作業で忙しいこの時期は、
・営業:売上の実績や予測をタイムリーに報告する
・製造・仕入:支払いに関する情報をいつもよりも早めに共有する
など管理部門以外の協力も欠かせません。
決算作業など会社が忙しい時期はどうしても目先の仕事に追われがちです。けれども、忙しい時期だからこそ、会社がより成長するための問題点が浮き彫りになる時期。
忙中に飛躍のチャンスありです。
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