ミセルチカラの磨き方

2025/07/10

たかが一杯、されど一手間—現場を動かす工夫の視点

カテゴリー :マネジメント

心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。

現場を動かす工夫の視点

年々「暑い」と感じる期間が、確実に長くなっていますね。

「1年中夏」のフィリピンに暮らしていたのも、もう四半世紀前になりますけれど、あの頃のフィリピンよりも今の日本は暑いです。

 

さて、職場で人が辞めたり移動したりすると、多かれ少なかれ業務上の「混乱」が起こるものです。

母が暮らすホームでも、今まさに「バタバタ」状態が続いています。

 

「人が辞めて手が足りないから」「人が代わって慣れてないから」というのは、本来「運営側の事情」であって、そこに暮らす人達には何ら関係のないことです。

「生死に関わること」も起こり得るところですから、そんなことは理由にもなりませんが、日常のほんの小さなところでは「工夫する」という視点が必要です。

 

これまで母のホームでは、毎日のおやつの時間にコーヒーが提供されていました。

「今日もコーヒーが飲めなかった」と連日コーヒー好きの母が言うので、ホームに確認したところ、「提供するのを止めた」ことが分かりました。

物価高騰の上、お茶とコーヒーの二種類を準備する手間がかかる。コーヒーといってもお湯を入れるだけのスティックコーヒーですが、結果として、コーヒーの提供は無くなったようです。

でも、自前でコーヒーを用意する分には提供できるというので、早速用意をしたのですが‥。

 

  • 提供することを忘れる
  • 母にコーヒーの用意をすることを知らない
  • 元々預けてあるおやつは出してもコーヒーはださない

‥と相変わらず母にとって望ましくないことが続きます。

 

母が「コーヒーを出してください」と言えばいいだけのことですが、母は発語が不自由ですから言いません。ましてや「自分だけにしてもらう」となると言わずに我慢します。

「忘れずにちゃんとやってください」と言うことは簡単ですが、それで状況が変わるわけではありません。

人が違っても、能力に差があっても忘れずに提供してもらうにはどうするか?

そこで一工夫を考えました。

 

小さなおやつとコーヒーは、同じ場所に置いてありますが、別々の入れものに入っているから忘れる。

小さなおやつは5種類くらいを一口サイズにして1日分ずつ小分けにしたものを2週間分用意しています。その小袋にスティックコーヒーを1本ずつ貼り付けて同じ容器に入れることにしました。

これでおやつとコーヒーの片方を忘れるということは起こらないはずです。慣れていない人であっても、どちらかだけ忘れる方が難しいですから。

 

  • 情報を発信したとしても、共有されていない。
  • 1度伝えただけで言ったこと、分かったことになっている。
  • こんな簡単なことができない現状に嘆く。
  • 言ったことをやってない、できてないことを注意する。
  • でも、ハラスメントにならないか気にする。

 

これは母のホームに限ったことではなく、事象は違ってもどんな会社にだってあることです。実際に起こっていないでしょうか?

どんなレベルの人であってもできるようにするにはどうするか?

どうしたらお客様のニーズに応えられるか?

 

「こういう視点で考えたことがありませんでした。」

ホームのスタッフの人が言いました。

「他のことにも応用できることですよね」と言われたので、「参考にしてください」とだけお伝えしました。

 

「視点を変える」ということは、業務の見直しになります。業務をこなせる個別の人への偏りを無くして平準化する。

それが効率効化にもつながりますし、「仕組み」を生み出せることにもなります。

 

この作戦以降、母は毎日甘いカフェオレを飲んでいます。

たかがコーヒー、されどコーヒー。母がご機嫌に過ごせることを考えたこの一手間、効果はありました。

「視点を変える」ことは、決して大袈裟なことではなく、ちょっとしたことなんですよ。

 

では、今日も1日お元気で。

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