ミセルチカラの磨き方
たかが一杯、されど一手間—現場を動かす工夫の視点
心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。
年々「暑い」と感じる期間が、確実に長くなっていますね。
「1年中夏」のフィリピンに暮らしていたのも、もう四半世紀前になりますけれど、あの頃のフィリピンよりも今の日本は暑いです。
さて、職場で人が辞めたり移動したりすると、多かれ少なかれ業務上の「混乱」が起こるものです。
母が暮らすホームでも、今まさに「バタバタ」状態が続いています。
「人が辞めて手が足りないから」「人が代わって慣れてないから」というのは、本来「運営側の事情」であって、そこに暮らす人達には何ら関係のないことです。
「生死に関わること」も起こり得るところですから、そんなことは理由にもなりませんが、日常のほんの小さなところでは「工夫する」という視点が必要です。
これまで母のホームでは、毎日のおやつの時間にコーヒーが提供されていました。
「今日もコーヒーが飲めなかった」と連日コーヒー好きの母が言うので、ホームに確認したところ、「提供するのを止めた」ことが分かりました。
物価高騰の上、お茶とコーヒーの二種類を準備する手間がかかる。コーヒーといってもお湯を入れるだけのスティックコーヒーですが、結果として、コーヒーの提供は無くなったようです。
でも、自前でコーヒーを用意する分には提供できるというので、早速用意をしたのですが‥。
- 提供することを忘れる
- 母にコーヒーの用意をすることを知らない
- 元々預けてあるおやつは出してもコーヒーはださない
‥と相変わらず母にとって望ましくないことが続きます。
母が「コーヒーを出してください」と言えばいいだけのことですが、母は発語が不自由ですから言いません。ましてや「自分だけにしてもらう」となると言わずに我慢します。
「忘れずにちゃんとやってください」と言うことは簡単ですが、それで状況が変わるわけではありません。
人が違っても、能力に差があっても忘れずに提供してもらうにはどうするか?
そこで一工夫を考えました。
小さなおやつとコーヒーは、同じ場所に置いてありますが、別々の入れものに入っているから忘れる。
小さなおやつは5種類くらいを一口サイズにして1日分ずつ小分けにしたものを2週間分用意しています。その小袋にスティックコーヒーを1本ずつ貼り付けて同じ容器に入れることにしました。
これでおやつとコーヒーの片方を忘れるということは起こらないはずです。慣れていない人であっても、どちらかだけ忘れる方が難しいですから。
- 情報を発信したとしても、共有されていない。
- 1度伝えただけで言ったこと、分かったことになっている。
- こんな簡単なことができない現状に嘆く。
- 言ったことをやってない、できてないことを注意する。
- でも、ハラスメントにならないか気にする。
これは母のホームに限ったことではなく、事象は違ってもどんな会社にだってあることです。実際に起こっていないでしょうか?
どんなレベルの人であってもできるようにするにはどうするか?
どうしたらお客様のニーズに応えられるか?
「こういう視点で考えたことがありませんでした。」
ホームのスタッフの人が言いました。
「他のことにも応用できることですよね」と言われたので、「参考にしてください」とだけお伝えしました。
「視点を変える」ということは、業務の見直しになります。業務をこなせる個別の人への偏りを無くして平準化する。
それが効率効化にもつながりますし、「仕組み」を生み出せることにもなります。
この作戦以降、母は毎日甘いカフェオレを飲んでいます。
たかがコーヒー、されどコーヒー。母がご機嫌に過ごせることを考えたこの一手間、効果はありました。
「視点を変える」ことは、決して大袈裟なことではなく、ちょっとしたことなんですよ。
では、今日も1日お元気で。
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