ミセルチカラの磨き方

2025/05/23

スタンプカードに見る「気づけばまた来てしまう」仕組みの作り方

カテゴリー :マーケティング

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

もらえない割引券に学ぶ、顧客の行動を促す仕掛け

「あれっ、割引券はくれないのかなぁ」

某飲食店チェーンのスタンプカード。500円毎にもらえるスタンプ数5個で100円の割引券を1枚もらえると書いてあるのに、スタンプ7個になった際、割引券をくれませんでした。

その時は店員さんが忘れているんだなぁと解釈して、そのままスルー。そして、昨日またスタンプカードを出したのですが、やはり割引券をもらえませんでした。

 

そこで、スタンプカードをよくよく読んでみると

・スタンプ押印期限と共に景品の交換期限が書いてある

・「スタンプカードは景品と交換毎に回収させていただきます」という注意書きがある

ことが分かりました。

 

つまり、このスタンプカードの場合、スタンプ数5個で自動的に景品をくれるのではなく

・景品が欲しいなら、自ら申告する必要がある

・ただし、その場合、そのスタンプカードは回収される

という訳です。

 

以前別の飲食店のスタンプカードの場合は、基準をクリアすると、申告しなくても、店員さんが自動的に景品をくれました。このため、今回もそうだと私が勝手に思っていたのですが、どうも仕組みが違っていた模様です。

今回は「割引券はくれないの?」と店員さんに質問しなかったからセーフだったのですが、書いてあることはちゃんと読まないといけませんね。

 

さて、このスタンプカードの件が心に残ったのは、お店でランチを食べる前に打合せしていたクライアントさんに、「説明会をやるなら、その導線も含めて、いろいろ見直しましょう」と話をしていたからです。

 

スタンプカードにせよ、説明会にせよ、やる目的があります。

スタンプカードで言えば、やはり、目的はお店に継続して来店してもらうことです。この点、今回のお店のスタンプカードはよく考えられた内容になっています。

 

・スタンプが貯まると、いろいろとお得な特典がある

ことは、他のカードとも共通です。

 

一方で、

・景品は申告しない限りもらえない

・スタンプ押印期限とは別に景品の交換期限が設定されている

・景品と交換すると、スタンプカードは回収される

ために、お店に通うための工夫が散りばめられているのを感じます。

 

例えば、条件をクリアすれば自動的に特典がもらえるなら、その段階で一旦満足してしまう人も出てきます。この場合、スタンプカードがあっても、次の来店にはつながりません。

次に、スタンプ5個はクリアしても次の基準である15個はクリアしていない私のような人の場合、押印期限は過ぎていても、景品の交換期限までに来店すれば、少なくとも5個に相当する特典はもらえます。

また、一度景品と交換すると、またゼロからのスタートになります。しかし、考えようによっては、最上位の25個のスタンプ獲得はヘビーユーザーでないと難しくても、最小限の5個ならクリアできそうなライトユーザーもカバーできるとも言えます。

おそらくいろいろな試行錯誤を経て、いまのスタイルになったのかと想像しますが、継続的な来店を促すための仕掛けとしては「なるほどね」と思った次第です。

 

スタンプカードも、各種説明会も、「他社もやっているからウチもやらなきゃ」では、なかなか成果に結びつきません

提供する側が良かれと思って実施している施策も、単に会社側の自己満足で終わったり、優良顧客の獲得に繋がらなかったりするのはもったいないです。

 

  • このやり方は目的に合致するものなのか。
  • もし、あまり合致しないのであれば、やり方をどう変えたらよいのか。

漫然とやるのではなく、知恵を絞ることで、同じような仕事でも、結果は大きく変わってきます。

 

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