ミセルチカラの磨き方

2020/01/31

人手不足を解消した営業所長の採用メソッドを紐解く

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

人手不足を解消した営業所長の採用メソッドを紐解く
人手不足がよく話題に上りますが、先日お会いしたある運送会社の方に「御社もやはり運転手さんの確保がたいへんですか?」と質問したところ、「お陰様でウチは大丈夫です!」という回答でした。

そこで、具体的にどのようなことを実践されているのかお尋ねしたところ、「なるほど!」と納得のいく話を聞くことができました。


では、その会社ではドライバーを確保するために、どのようなことをやっているのでしょうか?


お話をお聞きしたのは、ある賀詞交歓会に社長と一緒に来られていた女性の営業所長さん。元々はドライバーだったそうですが、実績が認められて所長に昇格されました。

取り扱う荷物が増えるにつれて、ドライバーの確保は営業成績にも直結する話です。もちろん、ハローワークにも求人を出しているものの、昨今の人手不足の折、希望者が集まるとは限りません。

 

そこで、彼女が取った作戦は、「トラックのドライバーがよく休憩するスポットに行って会社の名刺を配る」ということでした。

その時のコツというのは、

  • すぐに勧誘しない
  • ひたすら相手の話を聞く
  • 「何かあったら連絡してね」と名刺を渡す

です。

この時、すぐに転職希望者が獲得できる訳ではありません。けれども、しばらくすると、声をかけたうちの何人から連絡が入り、その人たちがドライバーとして採用されたのです。


この採用活動が上手くいっているのは大きく分けると、3つの要因があります。

1.対象者のいる場所に焦点を当てる

2.まずは信頼関係の構築を優先する

3.実行する人の人間的魅力


1.対象者のいる場所に焦点を当てる

元々ドライバー出身者だけに、どこに何時頃行けば、たくさんのドライバーがいる場所を知っていることが彼女の強み。業務の効率性を考えると、1時間あたりでできるだけたくさんの候補者と会った方が、成約に至る可能性は高まります。

これは長年の経験から来る強みなのかもしれません。


2.信頼関係の構築を優先する

初対面の人からいきなりセールスされると、「えっ、なにこの人!」と感じるのと同じように、見知らぬ人からいきなり「ウチの会社に来ない?」と言われても、多くの人は警戒します。この点、彼女はもっぱら聞き役に回り、相手に「もしかしたら、自分のことを分かってくれるかも」と短時間で思ってもらうことに成功しています。

営業でも採用でも、信頼関係がないと先に進みません。特に最近は「自分のことを認めてほしい」という承認欲求が強い人が増えているので、最初に相手の存在価値を認めるというプロセスは不可欠です。


3.実行する人の人間的魅力

私が彼女と話をしていたのはほんの10分程度ですが、「この人だったら部下からも慕われるかも」という雰囲気がすごく伝わってきました。

そして、実際それが分かるエピソードがあります。

彼女が営業所長に就任して早々、管轄している仕事で事故が発生。社内では「もしかしたら営業所長が交替になるかも?」という噂が飛び交ったそうです。その時、彼女が採用したドライバーさんたちは社長に対して、「所長が交替になるんだったら、自分たちも辞めます!」と訴えたとのこと。

誰がリーダーとしてふさわしいかは平時ではなく、何か問題が起きた時に、如実に分かります。


運送会社に限らず、どの会社でも、どうやって必要な人材を確保するのかについて頭を悩めています。

しかし、ある中小企業の営業所長さんが愚直に実践されている採用活動には、その悩みを解決するためのヒントがたくさん隠されているのではないでしょうか。

 

上述の採用活動の成功要因である

1.対象者のいる場所に焦点を当てる

2.まずは信頼関係の構築を優先する

3.実行する人の人間的魅力

も言ってみれば、当たり前のことだと感じる人もおられるかと思います。

けれども、「当たり前のことを、どれだけバカになってちゃんとやれるか」と言えば、できている人は意外と少ないのが現実です。

 

実は先の彼女は話の途中で「自分はバカですから」と何回もおっしゃっていました。そして、実際に社長からも「お前はバカだから」とよく言われているそうです。

しかし、私はその社長の言葉は、「お前は当たり前のことを、文句も言わずにちゃんとやっているなぁ」という意味での褒め言葉だと解釈しています。

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