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業績改善に奇策はいらない|史上最高益3社に学ぶ経営の3つの原則

業績が落ち込むと、「何か画期的なアイデアはないか」「これをやれば一気に売上が伸びる方法はないか」と考えたくなるものです。
しかし、業績改善に必ずしも奇策は必要ありません。
先日の「がっちりマンデー!!」では、「なぜか今!史上最高益の会社」として、幸楽苑、ブックオフ、ぴあの3社が紹介されていました。
3社が取り組んだことはそれぞれ異なります。しかし、その経営の中身を掘り下げてみると、史上最高益につながった背景には、中小企業の業績改善にも応用できる共通した考え方があります。
それが、「自社の強みを活かす」「足す・引くで変化を生む」「当たり前のことを愚直にやる」という3つの原則です。
業績を立て直すヒントは、誰も思いつかないウルトラCではなく、すでに自社の中にあるものを見直すことから見つかるのかもしれません。
今回の記事では、3社の事例をひも解きながら、業績改善を考える経営者が押さえておきたい3つの原則について考察します。
史上最高益3社に共通する業績改善の3つの原則
先日の「がっちりマンデー!!」では、「なぜか今!史上最高益の会社」として、
- 幸楽苑
- ブックオフ
- ぴあ
の3社が取り上げられていました。
番組では、それぞれが史上最高益を達成した要因として、
- 幸楽苑は「原点回帰」
- ブックオフは「個店を磨く」
- ぴあは「イベント主催」
という取り組みに焦点を当てていました。
一見すると、3社が実践したことはまったく違うように見えます。しかし、経営という視点で整理すると、そのエッセンスは次の3つに集約できます。
- 自社の強みを活かす
- 「足す」か「引く」かで変化を生む
- 言われてみれば当たり前のことを愚直にやる
大切なのは、「原点回帰をすればよい」「店長に権限を与えればよい」「イベントを主催すればよい」と、表面的な施策だけを真似することではありません。
なぜ、その取り組みが業績改善につながったのか。その背景にある経営の考え方をつかむことが重要です。
業績改善の原則1 自社の強みを活かす
業績が悪くなると、新しい商品やサービス、新規事業など、「今までやっていなかったこと」に目が向きがちです。しかし、新しいことを始める前に確認したいのが、「そもそも自社は何を評価されてきたのか」という自社の強みです。
3社の事例を見ると、この強みを改めて見直したことが業績改善につながっています。
幸楽苑は原点回帰で強みに経営資源を集中
幸楽苑さんの場合、本来の強みは「安くて美味しい料理を提供すること」でした。その価値がお客様に支持され、事業を成長させてきた会社です。
ところが、お客様のニーズが多様化する中で、ラーメンや餃子など本来主力としてきた中華料理以外にも事業を広げ、唐揚げ店などにも進出しました。
新しい需要を取り込むという意味では、事業を広げることにも合理性があります。しかし、結果として会社全体の採算が悪化しました。
そこで幸楽苑さんは、いろいろな事業を止め、本来掲げてきた「安くて美味しい料理を提供する」という原点に立ち返りました。経営資源を自社の強みに集中した結果、収益も回復したのです。
業績を改善しようとすると、「何を新しく始めるか」を考えがちですが、場合によっては「本来の強みに戻る」ことの方が効果的です。
ブックオフは店舗ごとの強みを磨いた
ブックオフさんの本来の強みは、「欲しいモノを安く買える」「不要品を手軽に売れる」という点にあります。
しかし、メルカリなど、個人が簡単に中古品を売買できるサービスが広がったことで、従来の強みだけでは差別化しにくくなりました。
そこで取り組んだのが、「個店を磨く」という考え方です。
各店舗が地域ごとの売れ筋をつかみ、
「この店はアニメ関連の商品が充実している」
「この分野の商品なら、この店舗に行けば見つかる」
といった店舗ごとの特徴を出すようになりました。
その結果、「欲しいモノを安く買える」という従来の強みに加えて、「欲しいモノが見つかりやすい」という価値も高まります。また、売れ筋を理解している店舗であれば、買い取りについても、より納得感のある価格を提示しやすくなります。
つまり、新しい強みをゼロから作ったというより、本来持っていた強みを店舗ごとに磨き直したと言えます。
ぴあは顧客データという資産を新しい事業に活かした
ぴあさんの強みは、過去にぴあを通じてチケットを購入したお客様のデータを大量に持っていることです。
このデータがあれば、「あのアーティストなら、この会場で1万人程度は集められそうだ」といった需要予測を立てやすくなります。
従来のようにチケット販売の手数料を受け取るだけであれば、利益には一定の限界があります。一方、自らイベントを主催すれば、成功した際の収益は大きくなります。
もちろん、イベント主催にはリスクもあります。集客できなければ、大きな赤字になる可能性があるからです。
しかし、ぴあさんには長年蓄積してきた顧客データがあります。その強みを活かすことで、イベント開催時の需要を予測し、失敗する確率を下げることができます。
幸楽苑さんが「原点に戻ることで強みを活かした」のに対して、ぴあさんは「既存の強みを別の事業に展開した」と言えるでしょう。
業績改善の原則2 「足す」と「引く」で経営を変える
業績改善というと、「新しい商品を増やす」「新しい市場に進出する」といった「足す」施策に意識が向きがちです。
しかし、会社を変える方法は「足す」だけではありません。「引く」ことによって成果が出るケースもあります。
今回の3社を整理すると、その違いがよく分かります。
幸楽苑は事業を「引いた」
幸楽苑さんは、唐揚げ事業などを止めました。つまり、「引く」ことで会社を変えています。
事業を増やせば、売上が増える可能性があります。しかし同時に、人材、資金、時間、管理コストも必要になります。
限られた経営資源が分散すれば、本来強かった事業まで弱くなる可能性があります。その意味で、「何を始めるか」と同じくらい、「何を止めるか」は重要な経営判断です。
ブックオフは「引く」と「足す」を組み合わせた
ブックオフさんの場合は、
- 本部からの一律的な指示を減らす
- 店長の裁量を増やす
という取り組みが行われています。
つまり、
- 本部による統一的な運営を「引く」
- 現場で判断できる範囲を「足す」
という二つの変化を組み合わせたわけです。
会社全体を均一化することには効率面でのメリットがあります。一方、地域や顧客層が違えば、売れる商品も変わります。
本部がすべてを決めるのではなく、現場に判断の余地を持たせたことで、それぞれの店舗の強みが生まれやすくなったと考えられます。
ぴあは既存事業に新しい収益源を「足した」
ぴあさんは、チケット販売プラスイベント主催という形で、新しい事業を「足しました」。
ここで重要なのは、まったく関係のない事業を新しく始めたわけではないことです。チケット販売を通じて蓄積してきた顧客データという強みを活かせる分野に事業を広げています。
新規事業を考える際にも、「今の事業と何の関係もないことを始める」のと、「今ある強みから事業を広げる」のとでは、成功確率が大きく変わります。
業績改善の原則3 当たり前のことを愚直に実践する
今回の3社の取り組みを見て、「なるほど」と感じる一方で、「言われてみれば当たり前ではないか」と思われた経営者もいるかもしれません。
実際、原点回帰することも、現場の意見を経営に活かすことも、顧客データを使って需要を予測することも、考え方としては特別なものではありません。また、チケット販売の手数料だけを受け取るより、自らイベントを主催した方が、成功した際の利益が大きくなることも計算すれば分かります。
つまり、3社とも、誰も思いつかないような特殊なウルトラCを実行したわけではありません。
むしろ、
- 分かっていることを実際にやる
- やると決めたことを徹底する
- 結果が出るまで一歩踏み込む
ということを愚直に実践しています。
経営では、「知っていること」と「できていること」は違います。「そんなことは分かっている」と思うことほど、実際には徹底できていないことも少なくありません。
当たり前のことを当たり前にやり続ける。
それが、結果として他社との差になり、大きな業績改善につながることがあります。
業績が悪いときほど「良いアイデア」を探しすぎない
経営相談の際、「何か良いアイデアはありませんか?」と聞かれることがあります。
その際、経営者が期待しているのは、誰も思いつかなかった画期的な施策であることも少なくありません。
特に業績が落ち込んでいると、「これをやればすぐに儲かる」「これだけで売上が急回復する」といった裏技やウルトラCを求めたくなる気持ちは理解できます。
しかし、現実の経営には、魔法の杖のような方法はほとんどありません。むしろ、新しいアイデアを探し続けることで、本来見直すべき課題から目をそらしてしまうことがあります。
大切なのは、
- 自社がこれまで何を評価されてきたのか
- 今の事業に何を足すべきなのか
- 逆に何を止めるべきなのか
- 分かっているのに実践できていないことは何か
を改めて確認することです。
新しいアイデアを考えること自体が悪いわけではありません。ただし、その前に「すでに自社の中にあるもの」を見直すことも、業績改善には欠かせません。
成功企業のやり方ではなく「考え方」を参考にする
ここで注意したいのは、成功した会社の具体的な施策を、そのまま自社に当てはめないことです。
幸楽苑さんは、原点回帰によって業績を改善しました。一方、ぴあさんは、従来の事業から一歩踏み出し、イベント主催という新しい事業を加えました。
つまり、
「原点回帰すれば業績が良くなる」
「権限委譲すれば会社が変わる」
「新規事業を始めれば利益が増える」
という単純な話ではありません。
会社ごとに、
持っている強み
- 顧客
- 人材
- 資金
- 市場環境
- 競合状況
は違います。
だからこそ、他社の成功事例を見る際には、「何をやったか」だけではなく、「なぜ、その判断をしたのか」まで掘り下げる必要があります。
成功事例から学ぶべきなのは、施策そのものよりも、その背景にある判断基準です。
中小企業の業績改善で確認したい3つの問い
今回の3社の事例を、自社の経営に置き換えるなら、まず次の3つを問い直してみることをおすすめします。
1.自社の強みを本当に活かせているか
お客様は、なぜ自社の商品やサービスを選んでいるのか。
以前は評価されていたのに、今は十分に活かせていない強みはないか。
自社にとって当たり前になりすぎて、価値を見落としているものはないか。
まずはここを確認します。
2.何を「足し」、何を「引く」べきか
新しく始めるべきことは何か。
逆に、止めるべき仕事や事業は何か。
経営資源を分散させているものはないか。
業績改善では、「やることを増やす」だけでなく、「やらないことを決める」視点も必要です。
3.分かっているのに、やっていないことはないか
既存のお客様へのフォロー。
現場からの意見収集。
不採算事業の見直し。
数字の確認。
こうしたことは、特別な経営ノウハウではありません。しかし、当たり前のことほど、忙しさを理由に後回しになりがちです。
「知っているけれど、できていないこと」に手をつけるだけでも、会社が変わるきっかけになります。
業績改善のヒントは、すでに自社の中にある
一時的な業績の落ち込みから、史上最高益を出すまでに業績を回復した企業が実践していたことを整理すると、
- 自社の強みを活かす
- 「足す」か「引く」かで変化を生む
- 言われてみれば当たり前のことを愚直にやる
という3つの原則に集約できます。
もちろん、具体的に何を「足す」のか、何を「引く」のかは会社によって違います。また、原点に戻った方がよい会社もあれば、今ある強みを使って新しい事業へ進んだ方がよい会社もあります。
だからこそ、成功企業の施策をそのまま真似るのではなく、その背景にある考え方を自社に置き換えることが大切です。
業績が落ち込んだときほど、外に「魔法の答え」を探したくなります。しかし、本当に見直すべきものは、意外と自社の中にあるのかもしれません。
- 自社には、まだ十分に活かし切れていない強みはないか。
- 続ける必要のない仕事や事業はないか。
- 分かっているのに、徹底できていないことはないか。
業績改善の第一歩は、そうした足元を改めて見直すことから始まります。
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