ミセルチカラの磨き方
仕事を先延ばしにしがちな経営者へ|「終盤集中型」を自覚すると仕事の進め方が変わる

仕事を先延ばしにしがちで、期限が迫ってから一気に取り組む。そんな「終盤集中型」の仕事の進め方をしている経営者は、決して少なくありません。
若い頃は、期限ギリギリでも集中力と体力で乗り切れたかもしれません。しかし、会社経営では、行動が遅れることで改善の機会を失ったり、周囲にしわ寄せが及んだりすることもあります。
だからといって、終盤集中型が悪いわけではありません。大切なのは、自分の仕事の進め方を自覚した上で、そのメリットとデメリットを理解し、経営者としてどう行動するかを自分で選ぶことです。
今回は、夏休みの宿題を先延ばしにしていた経験を振り返りながら、「終盤集中型」とどう向き合えば、仕事の進め方をより良くできるのかを考えます。
夏休みの宿題と仕事の先延ばしはよく似ている
8月も下旬になりました。
小学生や中学生の頃、毎年この時期になると、「夏休みの宿題はまだ終わっていないのに、なかなかやる気が出ない」という状態を繰り返していたことを思い出します(苦笑)。
今なら、やる気が出るのを待つよりも、まず手を動かした方が良いと分かっています。少しでも始めれば、次にやるべきことが見えてきますし、思っていたほど大変ではなかったと気づくこともあります。
しかし、当時はそうではありませんでした。
「まだ10日ほどある」
「この週末にはやろう」
そう考えて、ついつい宿題を先延ばしにしていました。
学校の宿題は遅れても何とかなる
学校の宿題であれば、提出が遅れて先生に怒られても、それをやり過ごせば何とかなることもあります。
もちろん、褒められた話ではありません。ただ、宿題を遅らせたことによる影響は、基本的には自分自身に返ってきます。
一方、会社の仕事はそうはいきません。
誰かから直接怒られなくても、やるべきことを先延ばしにした結果、
- 売上につながる機会を逃す
- 問題への対応が遅れる
- 社員の仕事が止まる
- 取引先に迷惑をかける
といった形で、自分だけでなく周囲にも影響が広がります。
会社経営における先延ばしは、単なる個人の習慣では済まないケースがあるのです。
成果が出る経営者ほど「宿題」に早く取り組む
クライアントさんとの打ち合わせでは、次回までの行動計画、つまりアクションプランを決めます。
言ってみれば、次の打ち合わせまでの「宿題」です。
その宿題への取り組み方を見ると、大きく分けて、
- すぐやる人
- 期限ギリギリになってやる人
- やらない人
の3つに分かれます。
そして、成果が出ている人には、やはり「すぐやる人」が多いです。
会社の宿題には「正解」がない
学校で問題集やドリルを解く宿題なら、多くの場合は正解があります。場合によっては、先に宿題を終えた友達に協力してもらって、最後に一気に仕上げることもできるでしょう。
しかし、会社が取り組む宿題は少し違います。むしろ、自由研究に近いものがあります。
「これをやれば必ず正解」というものではなく、それぞれの会社の状況や顧客、社員、資金、商品などを踏まえて、試行錯誤しながら答えを見つけていかなければなりません。だからこそ、早く取り組む意味があります。
早く始めれば改善する時間が残る
例えば、新しい営業方法を試すことを次回までのアクションプランにしたとします。
すぐに試してみれば、
- お客様の反応が悪かった
- 説明が分かりにくかった
- 想定していた価格では売れなかった
といったことが早い段階で分かります。そこで修正し、もう一度試すことができます。
一方、期限ギリギリになって初めて取り組んだ場合、問題点が見つかっても修正する時間がありません。
同じ宿題をやったとしても、取り組み始めるタイミングによって、得られる成果に差が生まれるのです。
「終盤集中型」の経営者は意外と多い
宿題をまったくやらない人は論外として、問題は期限ギリギリになってから一気に取り組むケースです。
私自身もそうでしたが、子供の頃の習慣は簡単には変わりません。
夏休みの終わりになって慌てて宿題をやっていた人は、経営者になってからも、
「まだ時間がある」
「今週末にやれば間に合う」
「締切が近づいた方が集中できる」
と考え、期限直前に一気に仕事を片づけることがあります。
私は、このような仕事の進め方を「終盤集中型」と呼んでいます。
まずは「自分は終盤集中型だ」と自覚する
では、終盤集中型の人は、どうすればよいのでしょうか。
最初の第一歩は、「自分は終盤集中型である」と自覚することです。
ここで大切なのは、
「こんな自分ではダメだ」
「もっと計画的にやらなければならない」
と、いきなり自分を否定しないことです。
良いか悪いかを判断する前に、まずは自分の仕事の進め方を事実として受け入れる。
そこから始めた方が、現実的な対策を考えやすくなります。
経営者なら「性格」ではなく損得勘定で判断する
自分が終盤集中型だと分かったら、次に考えたいのは、「その仕事の進め方を続けることで、何を得て、何を失っているのか」ということです。
経営者であれば、ここは損得勘定で考えてもよいと思います。
終盤集中型のデメリットを受け入れる
一つの選択肢は、終盤集中型のデメリットも含めて、そのスタイルを受け入れることです。
例えば、
締切前はかなり忙しくなる
途中で修正する時間が少なくなる
仕事が重なると大きな負担になる
というデメリットがあったとしても、
「自分は追い込まれた方が集中できる」
「このやり方が一番成果を出しやすい」
と判断するのであれば、それも一つの選択です。
自分の人生ですから、自分のスタイルを貫くこと自体が悪いわけではありません。
デメリットが大きければ仕事の進め方を変える
一方で、
- 締切直前になると毎回ストレスが大きい
- 社員や取引先にしわ寄せが出る
- 体力的に続けるのが厳しくなってきた
- 改善する時間がなく、仕事の質が上がらない
と感じているのであれば、仕事の進め方を変える必要があります。
重要なのは、「計画的な人にならなければならない」と考えることではありません。
終盤集中型を続けることで生じる損失が大きくなってきたのであれば、経営判断として行動を変える。
そのように考えた方が、無理なく取り組めるのではないでしょうか。
年齢とともに仕事の進め方も見直す
若い頃は、終盤集中型でも何とか結果を残せることがあります。徹夜したり、休日を使ったりして、一気に仕事を片づけることもできるでしょう。
しかし、年齢を重ねるにつれて、同じ働き方を続けるのが体力的に厳しくなることがあります。
私自身も、小学生時代と比べれば、終盤集中型から少しずつ変わってきました。今では、期限から逆算して仕事を分散させる「期間分散型」に近づいています。
期間分散型にもデメリットはある
もっとも、期間分散型ならすべてうまくいくわけではありません。
少しずつ仕事を進めるスタイルの場合、
- 毎日のメリハリがなくなる
- 常に仕事のことが頭から離れない
- 休日もダラダラと仕事をしてしまう
といったことがあります。
つまり、終盤集中型が悪くて、期間分散型が良いという単純な話ではありません。どちらにもメリットとデメリットがあります。
だからこそ、自分に合った仕事の進め方を自分で選ぶ必要があります。
自分の特徴を知ることが仕事の生産性を高める
大切なのは、自分の特徴をしっかり自覚した上で、
「今のやり方を続けるのか」
「少しやり方を変えるのか」
を判断する習慣を持つことです。
仕事の生産性を上げるというと、時間管理術や便利なツールを導入することに目が向きがちです。もちろん、それらも有効です。
しかし、その前に考えたいのは、「そもそも自分は、どのような状況で力を発揮しやすいのか」ということです。
自分の特徴に合っていない方法を無理に続けていると、必要以上にストレスが増えることがあります。
昔からのやり方が自分に合っているとは限らない
私は今でもたまに、「期限が迫っているのに宿題をやっていない」と焦っている夢を見ることがあります。それだけ、子供の頃の経験が自分の中に残っているのでしょう。
ただ、最近はこうも思います。
もしかすると、自分は本当に終盤集中型だったのではなく、「昔からそうやってきたから、そういう人間だと思い込んでいただけ」なのかもしれません。
昔から続けている仕事のスタイルが、本当に自分の能力を最も発揮できる方法とは限らないのです。
仕事を先延ばしにする自分を責める前に考えたいこと
仕事を先延ばしにしてしまった時、
「またやってしまった」
「自分は意志が弱い」
と自分を責めても、仕事の進め方はなかなか変わりません。
それよりも、
- 自分はなぜ期限直前まで動かないのか
- 終盤集中型にはどんなメリットがあるのか
- その一方で何を失っているのか
- 今の年齢や立場でも、そのスタイルを続けるのか
を考えてみる方が建設的です。
経営者にとって重要なのは、自分の性格を無理に変えることではありません。自分の特徴を理解した上で、それを会社経営にどう活かすかを判断することです。
日々のストレスは、できるだけ少ない方がよい。
もし、昔から続けてきた仕事の進め方によって、必要以上に苦労しているのであれば、一度そのやり方を疑ってみる。
それだけでも、仕事の進め方は変わり始めます。
「終盤集中型だから仕方がない」で終わるのか。それとも、自分の特徴を理解した上で、より力を発揮できるやり方を選ぶのか。
経営者だからこそ、自分自身の仕事の進め方についても、損得勘定を踏まえて判断してみてはいかがでしょうか。
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