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2026/09/18

外注にお金を払っているのに成果が出ない理由|中小企業の「任せ方」の問題

カテゴリー :マネジメント

外注しても仕事がうまく回らない会社へ
税理士や社労士、業務委託先など、社外の専門家や協力先に仕事を外注している中小企業は少なくありません。

ところが、外注費を支払っているにもかかわらず、「思ったほど仕事が楽にならない」「期待した成果が出ない」「結局、社内で手直しが必要になる」といった問題が起きることがあります。

 

その原因は、外注先の能力だけにあるとは限りません。

むしろ、会社側が「誰に、何を、どこまで任せるのか」「どの品質まで求めるのか」を明確にしていないことが、仕事がうまく回らない原因になっているケースがあります。

限られた人員と予算で経営する中小企業にとって、外部リソースをどう使うかは重要な経営課題です。

 

今回は、税理士事務所との実例を取り上げながら、外注にお金を払っているのに成果が出ない会社に共通する「仕事の任せ方」の問題について考えてみます。

 

外注がうまくいく会社は「任せる仕事」が明確

会社の仕事は、社員だけで成り立っているわけではありません。

税理士や社会保険労務士などの専門家、業務委託先、派遣社員など、さまざまな社外の協力を得ながら日々の業務を回しています。

 

特に、人材や予算に限りのある中小企業にとって、外部リソースを上手に活用することは、事業を継続し成長させるうえで欠かせません。

では、社外の協力先とうまく仕事ができている会社と、そうではない会社では、何が違うのでしょうか。

 

明確にしたい「仕事の内容・品質・やり方」

外注や業務委託がうまくいっている会社では、少なくとも次の3点が明確になっています。

  1. 任せる仕事の内容
  2. 求める仕事の品質
  3. 仕事の進め方

 

反対に、社員だけではリソースが足りないため、社外の協力先にお金を払っているにもかかわらず、思うような成果が出ていない会社では、

  1. 任せる仕事の内容が曖昧
  2. 求める品質について意思疎通ができていない
  3. 仕事の進め方が属人的になっている

といった問題が見受けられます。

 

単に「専門家だから任せれば大丈夫」「外注すれば社員の負担が減る」と考えているだけでは、期待した成果につながらないことがあるのです。

 

税理士に任せていても数字が正しいとは限らない

その一例が、税理士事務所との関係です。

 

弊社では毎月の記帳代行を税理士事務所にお願いしています。

一方、ある程度の規模の会社になると、

  • 社員が日々、会計システムに入力する
  • 毎月、税理士事務所が入力内容をチェックする

という形で月次決算を行っているケースも多いでしょう。

 

この場合、社員が入力した内容に間違いがあれば、税理士事務所がそのミスを発見し、修正するのが一般的です。

 

経理担当者が会計に詳しいとは限らない

中小企業の場合、経理担当者が必ずしも経理や会計の専門家とは限りません。

例えば、「この取引なら、この勘定科目でいいだろう」と考えて仕訳をしても、実際には処理が間違っていることがあります。

 

だからこそ、会社側で入力した内容を税理士事務所が確認し、必要に応じて修正するという役割分担には意味があります。

ところが、実際にはそのチェックが十分に機能していないケースがあります。

 

間違った仕訳がそのまま月次試算表に反映された事例

ある会社では、社員が間違った仕訳をしていたにもかかわらず、税理士事務所の担当者がそのミスを見逃していました。そして、会社への確認や連絡もないまま、その数字が月次の試算表として会社に送られてきていたのです。

 

決算書を作成し税務申告を行う段階では、通常、税理士資格を持つ先生が最終的な確認をします。申告漏れや税務上の問題がないかをチェックする必要があるためです。

一方、毎月の月次決算については、資格を持たない担当者が中心となってチェックし、税理士本人が一つひとつの仕訳まで確認していないこともあります。

その結果、第三者が見れば比較的簡単に気づくようなミスであっても、そのまま月次決算の数字として会社に報告されることがあるのです。

 

間違った数字は経営判断まで間違わせる

経営者が数字に強ければ、「この数字はおかしいのではないか」と気づき、税理士事務所に確認することができます。

しかし、経営者が数字をあまり得意としていない場合は厄介です。

 

税理士事務所が作成した試算表を見て、「今月は黒字だった」と思っていても、本当は赤字だったとしたらどうでしょうか。

その数字を前提に、新しい投資を決めたり、人を採用したり、資金繰りを考えたりすれば、経営判断そのものを誤る恐れがあります。

 

月次決算は、単に帳簿を作るためのものではありません。経営者が会社の現状を把握し、次の一手を判断するための重要な情報です。

だからこそ、「税理士が作った数字だから正しいだろう」と無条件に考えるのではなく、どこまでチェックしてもらうのかを会社と税理士事務所の間で明確にしておく必要があります。

 

仕事の範囲が曖昧だと余計な時間とコストが発生する

前述の会社については、私の方で「明らかに間違っている仕訳」を一覧表にまとめ、会社から税理士事務所に修正を依頼してもらいました。

ただ、よく考えてみれば、このやり取りは本来、会社と税理士事務所の間で完結すべき仕事です。

 

私の仕事は、税理士事務所のチェックを経た、ある程度信頼できる月次資料をベースに、

  • 今後の経営戦略をどうするのか
  • 資金繰りをどう改善するのか
  • 利益を増やすために何をするのか

といったことを経営者と一緒に考えることです。

 

ところが、元になる数字の確認から始めなければならないと、本来の仕事に取りかかるまでに余計な時間と労力がかかります。これは、会社全体で考えれば非常にもったいない状態です。

税理士事務所にもお金を払い、さらに別の専門家にも同じ数字のチェックをさせているとすれば、外部リソースを有効活用しているとは言えません。

 

外注では「誰に・何を・どこまで」を決める

「餅は餅屋」という言葉があります。

専門的な仕事を専門家に任せること自体は、決して間違いではありません。むしろ中小企業ほど、すべてを自社だけで抱え込むのではなく、専門家や業務委託先の力を上手に使った方が効率的です。

 

ただし、その際に重要なのが、

  • 誰に
  • 何を
  • どこまで

頼むのかを会社側で明確にしておくことです。

 

ここが曖昧なままだと、「そこまでやってくれると思っていた」「それは契約に含まれていない」といった認識のズレが生まれます。

そして、そのズレを埋めるために、結局はお金と時間を余計に使うことになります。

 

「丸投げ」と「任せる」は違う

会社側からすれば、「苦手な仕事だから、専門家に全部お任せしたい」と思う気持ちはよく分かります。

しかし、外部に丸投げしたうえで、一定以上の品質を維持し、さらに経営に役立つレベルまで対応してもらおうとすれば、それ相応のコストが必要になります。

 

例えば、

「経理については何も分からないので、日々の入力から月次決算、資金繰りの分析まで、すべてお願いします」

という依頼と、

「日々の入力は社内で行うので、毎月その内容を確認し、間違いがあれば修正してください」

という依頼では、当然、必要な業務量も料金も違ってきます。

 

限られた予算の中で外部リソースを活用する中小企業では、何でも丸投げするよりも、

「ここまでは自社でやる」

「ここから先をお願いする」

という線引きをすることが重要です。

 

自社の努力と外注する仕事の明確化はワンセット

例えば、

「この仕事までは社内で行います。その後のチェックと修正をお願いします」

あるいは、

「ここまでの業務をお願いしたい。ただし、予算は月額50万円以内にしたい」

といった具合です。

 

予算が決まっている以上、依頼できる仕事にも限界があります。

だからこそ、

  1. 何を自社で行い、
  2. 何を外部に任せ、
  3. どのレベルまで求めるのか。

この3つを明確にする必要があります。

つまり、自社でできることをきちんと行う「自助努力」と、外部に任せる仕事を明確にすることはワンセットなのです。

 

限られた予算だからこそ「ここまでで十分」を決める

経営者としては、「あれもやってほしい」「できれば、これもお願いしたい」と思うものです。私自身も経営者ですから、その気持ちはよく分かります。

しかし、使える予算には限りがあります。

 

私も20年以上会社を経営する中で感じているのは、「この価格で、ここまでやってくれたら御の字だ」という基準を持って外部の専門家や業務委託先に仕事を任せた方が、結果としてうまくいき、長い付き合いにつながりやすいということです。

外注先に多くを求めることが問題なのではありません。問題なのは、求める仕事と予算とのバランスが曖昧なまま、「もっとやってほしい」という期待だけが膨らんでいくことです。

 

外部リソースを活かすのは経営者の仕事

人手が足りないから外注する。

専門知識がないから専門家に頼る。

それ自体は、中小企業にとって合理的な判断です。しかし、お金を払って外注すれば、自動的に仕事がうまく回るわけではありません。

 

経営者が考えるべきなのは、

  • 「誰に頼むか」だけではなく、
  • 「何を頼むか」
  • 「どこまで頼むか」
  • 「どの品質を求めるか」

です。

そして、その前提として、「自社ではどこまでやるのか」を決める必要があります。

 

外注先や専門家を選ぶこと以上に、任せる仕事を明確にすること。

限られた人員と予算で経営する中小企業だからこそ、この「任せ方」を整えることが、外部リソースを最大限に活かし、会社のお金と時間を無駄にしないことにつながります。
 

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税理士・弁護士と「うまく付き合う経営者」の共通点

税理士や弁護士は判断の材料を示す存在であり、結論を決めるのは経営者。士業の立場を理解し、リスクを引き受ける覚悟が、信頼関係と会社を守る。

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