ミセルチカラの磨き方
社員に迎合する経営者と対峙する経営者|成長が止まる会社と成長し続ける会社の違い
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
人間であれば誰しも、人から嫌われたいとは思いません。それは会社組織においても同じです。社員は経営者に嫌われたくないし、経営者もまた、社員に嫌われたくないという気持ちを抱きがちです。
しかし、経営者がこの心理に囚われてしまうと、大きな落とし穴にはまります。社員の顔色をうかがい、不満を溜め込みながら経営を続ける会社は、やがて成長が止まるのです。
一方で、経営者が社員と正面から対峙し、不満を一掃する姿勢を貫いた会社は、強い組織へと変貌を遂げ、成長を続けます。本稿ではその理由を、具体的な事例を交えて解説していきます。
経営者が抱える「嫌われたくない」心理
経営者といえば強いリーダーシップを持ち、時に厳しく社員を導く存在だと思われがちです。しかし、実際には「社員に嫌われたくない」と考える経営者は少なくありません。
- 社員が思ったように動いてくれない
- 指示を守らない
- 態度が不遜で腹が立つ
こうした状況でも、本音をぶつけられず我慢してしまう経営者が多いのです。その背景には「辞められると困る」という恐怖心があります。人材不足の中で社員が離職すれば、事業が立ち行かなくなるかもしれない。その不安が、経営者を弱腰にしてしまいます。
社員に迎合する経営の行き着く先
経営者が社員に迎合すると、表面的には穏やかに見えます。衝突もなく、波風も立たない。しかし、その代償は大きいものです。
- 不満をぶつけられないことで、経営者のストレスは溜まり続ける
- 不平不満を放置された社員は「これでも許される」と学習する
- 結果として、組織全体の規律や緊張感が失われる
この状態が続くと、会社はじわじわと活力を失い、成長のエンジンが止まってしまいます。
対峙することで変わった会社の事例
あるクライアント企業でも、同じような状況がありました。人材不足で常にギリギリの人数、募集をかけても応募が来ない。経営者は怒りたい気持ちを抑え込み、社員の問題行動を見て見ぬふりをしていました。
しかし、ある時「このままでは会社が潰れる」と腹を決め、全社員との面談を実施しました。
その場で経営者は、自らの経営方針をはっきりと示し、こう告げました。
「この方針に不満があるなら、辞めてもらって結構です」
すると、驚くことが起きました。多くの社員が「このまま働かせてください」「今まで以上に頑張ります」と返答したのです。社内をかき乱していた社員でさえ「私は会社に不満はありません」と答えました。
面談から1か月後、社内の雰囲気は一変しました。意思疎通がスムーズになり、顧客からの評価も向上したのです。
人間は本能的に「本気」を感じ取る
この事例が示すのは、人間は本能的に「相手が本気かどうか」を感じ取るということです。社員に迎合しているうちは、経営者の姿勢は弱く映ります。逆に、恐怖心を乗り越え、自分の方針を貫き通す覚悟を示した瞬間、社員は「この社長は本気だ」と理解します。
そこから、経営者と社員の関係性は健全なものへと変わっていくのです。
「良かれと思った施策」が裏目に出る理由
知人の社労士によると、労働問題で訴えられるのは「社員のために良かれと思って施策を打っている会社」に多いといいます。
・給与を上げ
・福利厚生を整える
・休暇制度を拡充する
もちろん、これらは大切な施策です。しかし、いくら整備しても不満を持つ社員は必ず現れます。そして、不満を持った社員に対して経営者が強く言えない場合、トラブルは深刻化しやすいのです。
一方で、「不満があるなら辞めてもらって構わない」と明言できる会社では、問題が大きくなる前に収束します。なぜなら、経営者が真正面から社員に向き合っているからです。
成長を続ける会社に必要なのは「嫌われる勇気」
結局のところ、経営者に求められるのは「嫌われる勇気」です。待遇改善や制度設計以上に大事なのは、経営者自身が腹をくくって社員と向き合えるかどうか。
社員と経営者の関係も、所詮は人と人の関係です。相手が本気かどうかは、言葉以上に態度や姿勢から伝わります。
迎合して不満を溜め込むのか、それとも対峙して不満を一掃するのか。ここでの選択が、会社の未来を大きく左右するのです。
まとめ
経営者が社員に迎合すれば、いずれ会社の成長は止まります。経営者が社員に対峙し、不満を一掃することで初めて、会社は次のステージへ進めます。
経営者にとって大切なのは、嫌われないことではなく、本気で組織を成長させる覚悟を示すこと。腹をくくって向き合えば、社員は必ずその姿勢を感じ取り、組織は強くなります。
社員に迎合する会社は成長が止まる。社員に対峙する会社は成長し続ける。
この原則を胸に刻み、経営の舵を切り直すことが、未来を切り開く第一歩となるのです。
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