ミセルチカラの磨き方

2025/10/10

社員に迎合する経営者と対峙する経営者|成長が止まる会社と成長し続ける会社の違い

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

なぜ社員に迎合すると会社は衰退するのか?

人間であれば誰しも、人から嫌われたいとは思いません。それは会社組織においても同じです。社員は経営者に嫌われたくないし、経営者もまた、社員に嫌われたくないという気持ちを抱きがちです。

しかし、経営者がこの心理に囚われてしまうと、大きな落とし穴にはまります。社員の顔色をうかがい、不満を溜め込みながら経営を続ける会社は、やがて成長が止まるのです。

一方で、経営者が社員と正面から対峙し、不満を一掃する姿勢を貫いた会社は、強い組織へと変貌を遂げ、成長を続けます。本稿ではその理由を、具体的な事例を交えて解説していきます。

 

経営者が抱える「嫌われたくない」心理

経営者といえば強いリーダーシップを持ち、時に厳しく社員を導く存在だと思われがちです。しかし、実際には「社員に嫌われたくない」と考える経営者は少なくありません。

  • 社員が思ったように動いてくれない
  • 指示を守らない
  • 態度が不遜で腹が立つ

 

こうした状況でも、本音をぶつけられず我慢してしまう経営者が多いのです。その背景には「辞められると困る」という恐怖心があります。人材不足の中で社員が離職すれば、事業が立ち行かなくなるかもしれない。その不安が、経営者を弱腰にしてしまいます。

 

社員に迎合する経営の行き着く先

経営者が社員に迎合すると、表面的には穏やかに見えます。衝突もなく、波風も立たない。しかし、その代償は大きいものです。

  • 不満をぶつけられないことで、経営者のストレスは溜まり続ける
  • 不平不満を放置された社員は「これでも許される」と学習する
  • 結果として、組織全体の規律や緊張感が失われる

この状態が続くと、会社はじわじわと活力を失い、成長のエンジンが止まってしまいます。

 

対峙することで変わった会社の事例

あるクライアント企業でも、同じような状況がありました。人材不足で常にギリギリの人数、募集をかけても応募が来ない。経営者は怒りたい気持ちを抑え込み、社員の問題行動を見て見ぬふりをしていました。

しかし、ある時「このままでは会社が潰れる」と腹を決め、全社員との面談を実施しました。

その場で経営者は、自らの経営方針をはっきりと示し、こう告げました。

「この方針に不満があるなら、辞めてもらって結構です」

 

すると、驚くことが起きました。多くの社員が「このまま働かせてください」「今まで以上に頑張ります」と返答したのです。社内をかき乱していた社員でさえ「私は会社に不満はありません」と答えました。

面談から1か月後、社内の雰囲気は一変しました。意思疎通がスムーズになり、顧客からの評価も向上したのです。

 

人間は本能的に「本気」を感じ取る

この事例が示すのは、人間は本能的に「相手が本気かどうか」を感じ取るということです。社員に迎合しているうちは、経営者の姿勢は弱く映ります。逆に、恐怖心を乗り越え、自分の方針を貫き通す覚悟を示した瞬間、社員は「この社長は本気だ」と理解します。

そこから、経営者と社員の関係性は健全なものへと変わっていくのです。

 

「良かれと思った施策」が裏目に出る理由

知人の社労士によると、労働問題で訴えられるのは「社員のために良かれと思って施策を打っている会社」に多いといいます。

・給与を上げ

・福利厚生を整える

・休暇制度を拡充する

もちろん、これらは大切な施策です。しかし、いくら整備しても不満を持つ社員は必ず現れます。そして、不満を持った社員に対して経営者が強く言えない場合、トラブルは深刻化しやすいのです。

一方で、「不満があるなら辞めてもらって構わない」と明言できる会社では、問題が大きくなる前に収束します。なぜなら、経営者が真正面から社員に向き合っているからです。

 

成長を続ける会社に必要なのは「嫌われる勇気」

結局のところ、経営者に求められるのは「嫌われる勇気」です。待遇改善や制度設計以上に大事なのは、経営者自身が腹をくくって社員と向き合えるかどうか。

社員と経営者の関係も、所詮は人と人の関係です。相手が本気かどうかは、言葉以上に態度や姿勢から伝わります。

迎合して不満を溜め込むのか、それとも対峙して不満を一掃するのか。ここでの選択が、会社の未来を大きく左右するのです。

 

まとめ

経営者が社員に迎合すれば、いずれ会社の成長は止まります。経営者が社員に対峙し、不満を一掃することで初めて、会社は次のステージへ進めます。

経営者にとって大切なのは、嫌われないことではなく、本気で組織を成長させる覚悟を示すこと。腹をくくって向き合えば、社員は必ずその姿勢を感じ取り、組織は強くなります。

 

社員に迎合する会社は成長が止まる。社員に対峙する会社は成長し続ける

この原則を胸に刻み、経営の舵を切り直すことが、未来を切り開く第一歩となるのです。

 

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