ミセルチカラの磨き方
「履いてみて初めて分かる」価値は、どう伝えればいいのか
心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。

2026年がスタートして1週間が過ぎました。
この年末年始は9連休という方もいらっしゃったかと思いますが、どんな風に過ごされたでしょうか?
私はこのお正月に高校時代の友人と会ったのですが、友人の一言に大ショックを受けました。
「ねぇ、知ってる? うさぎやさん閉店しちゃうんだよ。」
「うさぎや」というのは、創業74年になる靴屋さんです。
正直に言うと、この靴屋さんが閉店するなんて、想像もしていませんでした。いつ行ってもある。いつでも買える。そう思い込んでいたんだと思います。
私も友人も「うさぎやの靴しか履かない」というファン。
「履かない」と言うよりは、「履けない」というかんじでしょうか。
特に靴職人さん手づくのりハイヒールの履き心地は抜群で、私は「靴擦れした」なんてことは一度もありません。
お互いに好きで同じ店に行っていたというのは後々分かったことですが、閉店セール中のお店に直行しました。
その日は二人揃って「うさぎや」のオリジナルを履いていました。
私のショートブーツを見たお店の方が
「それはね、日本一の靴職人が作ったものだよ。もう二度とないよ。」
とおっしゃいました。
なんでも78歳になるその靴職人さん、日本一だそうです。日本一の根拠は分からないにしても、この靴の履き心地からすれば疑う余地のないことです。
「最後に一足」と思ったものの、既に多くのファンの人が買ったとみえて、ものすごく小さいサイズか、ものすごく大きいサイズしか残っていない状況。
残念ですが仕方がありません。私達はこれまでの感謝を伝えてお店を後にするしかありませんでした。
それにしても、なぜ閉店しなければならないのか。
職人さんたちの高齢化もあるそうですが、それが理由ではないよう。最大の理由は「以前ほど靴が売れない」ということ。
オリジナル靴とは言え、手が届かないような高額の靴ではありません。だから多くの人が「素晴らしい履き心地」を享受できたわけですが、靴の価値を考えたら、価格とクオリティが合っていないとも思います。
友人が「みんなどんな靴履いてるのかなって思って見たら、ほとんどがスニーカー」と言っていましたが、確かに老若男女問わずスニーカーです。
もちろんハイブランドの高級スニーカーもありますが、そこそこの価格で履きやすいものもたくさんあります。
昨今の物の値段の上昇ぶりを見れば、新しい靴を買い控えるということもあるでしょう。リモートワークが増えたら、お出かけ用の靴の出番が減ってしまうことだってあります。
いろいろ思うことはあるにせよ、この職人技を絶やしてしまうのか…と思うと、とっても切ない気持ちになります。
高い技術があって、良い商品がある。
それに魅了された根強いファンがたくさんいる。
事業に対する想いも誇りもある。
それでも、老舗企業とは言え、事業を終わらせる厳しい現実。
後継者はいなかったんだろうか?
マーケティングはどうしてたんだろうか?
財務状況に問題があったんだろうか?
聞いてみたいことが次々出てきます。
私達がお店で話をしていた方も日本一の靴職人と同じ年代と思われます。
店員さんは「経験豊富な年代」の人が多かったことを思うと、変えられなかったやり方や文化があったかもしれません。
不透明な時代の変化にどれだけ対応できるかということは事業を続けていく上で大事なことだと思います。それと同時に、伝えることの大事さを改めて突き付けられたようにも思います。
「履いてみて初めて、そのすごさがわかる」というこの靴。
「自分の感情や思考の癖が分かって初めて、その力がわかる」というのと同じだと思ってしまいました。
じゃぁ、どうする?
今のところの答えは、「伝え続けるしかない」です。
歩幅や速度を変えながらも、前に進むための歩みを止めないということ。それは、声高に叫ぶことでも、無理に分かってもらおうとすることでもなく、分かる人に、そして必要な人に、ちゃんと届く形で続けるということです。
2026年、弊社は創業から20年を迎えます。あらためて、「地道に続ける」を選び直す年にしたいと思います。
本年も引き続きよろしくお願いいたします。
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