ミセルチカラの磨き方
「ダメ」を減らすか、「OK」を増やすか。
心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。

梅雨が明けたと思ったら、連日のこの暑さ!
特に「酷暑日」なんていうのは、できるだけ少ない方がいいですけれど、今日は「減らすため」と「増やすため」についての話をしようと思います。
「ミスをゼロにする」
これを目標に掲げることがあるかもしれません。実際にクライアントさんの会社でもそういう目標がありました。
何か問題が起こったときには、「誰がやったか」とか、「なぜ起こったか」とか、事実確認をします。
その後「完璧な制度を作る」「ルールを守らせる」といったことに取り組んだとしても、定着するには時間がかかります。効果が見えるのもまた時間がかかります。
結局のところ、「やめてください」「守ってください」「気をつけてください」を繰りかえし言うことになってしまいます。
Aさんがやりました…注意する。
今度はBさんがやりました…また注意する。
今度はCさんが…。
注意し続けているのに、同じようなミスが起こってしまう。
こういうことが日常的に起こっていないでしょうか?
先日、母が暮らす介護ホームであったことです。
私は母のベッドの足元側の枠に「S字フック」を取り付けました。何のために?
おむつ用のパットを交換するとき、「ルール」はあってもスタッフそれぞれに処理の仕方が違います。
一番やってはいけないのが、汚れたパットを床に置いてからビニール袋に入れるという行動。もちろんルール上はNGですし、感染対策上もNG行為です。
それでも、寝た状態の人の身体を支えながら、早く交換するために床に置く人はいます。だから、最初にS字フックに袋をかけておいて交換したものを入れる場所をつくっておくようにしました。
それだけのことです。
「汚れたパッドを床に置くのをやめてください」と言うのは簡単ですし、そもそも正論ですから「禁止事項としてストレートに言うのも正解です。ただ、反発が生まれたり、やらされ感が生まれたりすることがあるかもしれません。
でも私はスタッフの方にこう言いました。
「私がやるときに楽だったんですよ」
「良かったら使ってくださいね」
私がS字フックをつけたのは、自分がやるときの工夫のひとつです。
3月にノロウイルスに感染して以降、トイレに行くことができなくなった母の負担をできるだけ少なくしたいからです。
それに、袋を床に置いておいても、袋の口がしぼんでしまうこともあるのでささいなことで手を止めることになるのがプチストレスでした…笑。
実際に使ってみたスタッフからは
「腰をかがめなくていい!」
「導線がいい!」
「全部の部屋にあったらいいのに!」
という声が次々にあがります。
つまり、いつもと同じ行動ではあっても、1つの工夫の中に自分で価値を見つけているわけです。
介護ホームのスタッフのみなさんにとっては、母だけのことではありません。日常です。
だから、毎日何度もやる動作が少し楽になることで多くの人の負担が減ることにもなります。
何よりも、床に置かなくて済みますから感染対策にもなります。
「ミスをゼロにする」
介護ホームでのことで言うなら、今は「ミス」ではないかもしれません。
でもひとたび感染症が広がったら、床に置く行為は大きなミスになります。
ミスになったとき、「ミスをゼロにする」「やめてください」ではもう間に合いません。
手間が減る。負担が減る。
気持ちが楽になる。自然とできることが増える。
人は禁止事項よりもずっと自然に動きやすくなります。
だから結果として、「やめてください」と言わなくても、「やらなくなる」。
「やめてください」は「ダメ」を減らすための言葉。
「楽になりますよ」は「OK」を増やすための言葉。
でも、その違いを生み出しているのは、言葉の違いだけではありません。
「1回の動作」を見ているのか。
「365日の積み重ね」を見ているのか。
何を減らそうとしているのか。
何を増やそうとしているのか。
同じ出来事を前にしても、「やめてください」が生まれることもあれば、「楽になりますよ」が生まれることもあるんです。見ているものが変われば、選ぶ言葉も、取る行動も変わっていきます。
あなたに見えている景色は、何でしょうか?
それでは、今日も1日お元気で。
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