ミセルチカラの磨き方

2025/11/14

中小企業の事業撤退判断|感情に左右されず損失を防ぐための撤退基準とは

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

「やめた方がいい」とわかっているのに、なぜ撤退できないのか?

会社で複数の事業を行っている際、ある事業から撤退するというのは一筋縄ではいきません。

数字を分析して、「この事業は止めた方が良いですよ」とアドバイスしても、

・売上が減るのが怖い

・思い入れのある仕事なので続けたい

・◯◯さんとの関係性があるので、止められない

といった答えが返ってきます。

 

もちろん、社員の雇用の問題があるので、いったん止めると決めても、外資系企業のように、社員もクビにして、すぱっと撤退するのは難しいかもしれません。

しかしながら、予め撤退基準を決めておかないと、いざその事業を止めようと思って動き出した時に、資金的にも余裕がなくて、止めるに止められないことが起こります。

 

「売上が減るのが怖い」とおっしゃる方の場合には、売上高は見ているけれど、利益を見ていないケースがあります。

先日も部門別・商品別の数字を出してもらったところ、一番売れている商品が広告費等を勘案すると、赤字になっていることが判明しました。そこで、商品の単価の見直しを実施したところ、売上高では減ったものの、利益では改善することに成功されました。

また、「このサービスは利益はあまり出ていないが、これをやることで大口のサービス獲得につながっている」と主張されたケースがありました。

もちろん、フロント商品として、赤字でも買ってもらい、バックエンド商品につなげて、最終的には利益を獲得するという戦略はあります。

けれども、前述のケースはあまり関連性が見られなかったので、折に触れて、「そろそろ止めませんか?」と言い続けた結果、今年になって、社長もようやく決断され、利鞘の薄いサービスからは撤退されました。

 

数字や理屈では分かっていても、いったん始めたことを止めると決断して、実行するのは容易ではありません

 

その人の心の中の優先順位として

売上が減ることに対する恐れ>赤字が減ることに対する安堵感

となっていると、その事業から撤退することはありません。


また、

この事業を止めるとA社には言いたくない>続けているなら、A社に言わなくても済む

という状況だと、たとえ採算割れでもA社との仕事を続ける可能性があります。

 

つまり、理屈ではなく、感情や想いの方が最終的に優先されて、会社経営から見た場合は早く撤退した方が良い事業をズルズルと続けてしまうことはよく起こるのです。

それがゆえに、たとえば

・売上が半分になったら販売を止める

・赤字が3年続いたら即時撤退する

・利益率が5%を下回ったら、1年以内に撤退する

といったように、予め社内ルールとして撤退基準を決めておきましょう

 

特に中小企業の場合は、オーナー経営者の意向で採算の悪い事業を続けるケースがあります。

経営環境が目まぐるしく変わる中、以前の成功体験が必ずしも通用しません。個人的な思入れがあっても、ルールに抵触するようなら、早めに手を打つことで、大きな損失を回避することができます。

 

なお、「自分は始めるのは得意だけれど、止めるのは苦手かも」という自覚のある方は、ご自身の「構造」を知ることで、より上手くいく結果を手にすることができます。詳しくは「こちら」をご覧ください。

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