ミセルチカラの磨き方
受注できない商談を繰り返す会社に足りない視点

受注できない商談が続く会社ほど、失注原因の見方を間違えていることがあります。
商談を重ねているのに、なかなか受注につながらない。その原因を「相手の反応が悪かった」「価格が合わなかった」「タイミングが悪かった」と考えて終わらせていないでしょうか。
もちろん、商談の結果は相手があることなので、すべてを自社でコントロールすることはできません。けれども、受注できない商談を繰り返している場合、失注原因の見極め方や商談後の振り返りに、改善の余地が隠れていることがあります。
大切なのは、商談前は相手基準で価値の伝え方を考え、商談後は自分基準で改善点を見つけることです。
本記事では、経営者が営業改善を進める上で押さえておきたい、商談前後の判断基準と、次の成約率を高めるための振り返り方について解説します。
商談前と商談後では判断基準を変える
商談で成果を上げるためには、商談する前と商談した後で、判断基準を変えることが大切です。
具体的には、
- 商談する前は、相手基準
- 商談した後は、自分基準
この考え方がベターです。
商談する前は、相手の立場に立って考えます。
相手は何に困っているのか。
どのような情報を求めているのか。
どのように伝えれば、自社の商品やサービスの価値が伝わるのか。
このように、相手基準で準備することが重要です。
一方、商談が終わった後は、相手の反応だけに振り回されるのではなく、自分たちの判断基準に照らして振り返る必要があります。
自社として伝えるべきことを伝えられたのか。
相手の課題を正しく確認できたのか。
提案内容は相手の状況に合っていたのか。
改善すべき点はどこにあるのか。
このように、自分基準で冷静に見直すことで、次の商談の成約率アップにつながります。
受注できない商談で起こりがちな判断ミス
実際には、商談前と商談後の判断基準が逆になっているケースが少なくありません。
商談する前は、自分の言いたいことに囚われてしまう。
商談した後は、相手の反応に振り回されてしまう。
このような状態です。
商談の目的は、最終的には受注に結びつけることです。
そのため、結果だけを見れば、
- 受注した商談は、上手くいった商談
- 受注しなかった商談は、上手くいかなかった商談
と捉えがちです。
しかし、受注するかどうかは相手が決めることでもあります。自社がどれだけ準備をしても、どれだけ丁寧に説明しても、100%コントロールできるものではありません。
だからこそ、受注できなかったという結果だけで、商談全体を評価してしまうと、営業改善の方向性を間違える恐れがあります。
失注原因は一つではない
受注できなかった商談には、必ず何らかの原因があります。ただし、その原因は一つとは限りません。
たとえば、
・商談での説明が分かりにくかった
・先方のニーズと自社の商品が合っていなかった
・価格面で折り合わなかった
・導入するタイミングが合わなかった
・キーパーソンが代わってしまった
・先方で別の大きな問題が発生していた
など、失注原因はさまざまです。
この中で、商談での説明が分かりにくかった場合は、今後に向けて改善できます。
- 伝える順番を変える
- 事例を加える
- 相手の業種に合わせた説明にする
このような工夫によって、次の商談では受注につながる可能性があります。
また、価格面で折り合わなかった場合も、単に値下げを考えるのではなく、提案内容と価格の見せ方を見直す余地があります。
- 価格そのものが問題だったのか
- 価値が十分に伝わっていなかったのか
- 支払い条件や導入ステップに工夫の余地があったのか
こうした点を振り返ることで、営業改善の具体策が見えてきます。
ニーズが合わない商談は無理に受注しない
一方で、先方のニーズと自社の商品やサービスが合わない場合もあります。
この場合、事前のヒアリングや調査が甘かったのであれば、改善の余地があります。
- 問い合わせ段階で確認すべきことを整理する
- 商談前に相手の課題をもう少し深く聞く
- 提案前に、導入目的や期待値を確認する
こうした対応によって、ミスマッチを減らすことはできます。
ただし、最初の問い合わせの段階では、先方自身もニーズをはっきりつかんでいないケースがあります。話を聞いていく中で、実は自社の商品やサービスとは合わないことが分かる場合もあります。
そのような時に、無理やり受注しようとするのは得策ではありません。
むしろ、ニーズが合わないことを明らかにしたうえで、今回は見送る。必要であれば、別の選択肢を伝える。
その方が、結果的に相手から信頼されることもあります。
短期的な売上だけを追いかけると、合わない商談まで受注しようとしてしまいます。しかし、それは後々のトラブルや不満につながる可能性があります。
経営者にとって大切なのは、受注することだけではありません。自社が本当に価値を提供できる相手に、きちんと価値を届けることです。
商談結果に振り回されると次の一手を間違える
商談が上手くいかなかった時、相手の反応や結果だけを基準にしてしまうと、次の一手を間違えることがあります。
たとえば、
先方で大きなトラブルが発生していた。
人事異動で、これまでのキーパーソンが担当から外れてしまった。
予算が一時的に凍結された。
社内の優先順位が変わった。
このように、自社ではどうしようもない理由で商談が進まないこともあります。
この場合、「説明が悪かったのではないか」「価格を下げるべきだったのではないか」と考えすぎると、本来変える必要のない部分まで変えてしまうかもしれません。
逆に、たまたま受注できた商談を「自分たちのやり方が正しかった」と安易に判断するのも危険です。
相手が急いでいたから決まった。
競合が対応できなかったから決まった。
以前からの関係性があったから決まった。
このような要因で受注できたにも関わらず、「今の営業方法で問題ない」と考えてしまうと、成長はそこで止まります。
商談結果は大事です。しかし、結果だけで商談の良し悪しを判断してはいけません。
成約率を高めるには商談後の振り返りが欠かせない
スポーツの試合でも、同じことが言えます。
どれだけ努力を重ねても、試合に勝つこともあれば、負けることもあります。勝つために努力することは当然大切です。けれども、負けたからといって、その努力がすべて無駄になるわけではありません。
反対に、試合に勝ったとしても、相手が本来の力を出せなかっただけかもしれません。その状況で「自分は強い」「今までのやり方で間違いない」と考えてしまうと、次の成長につながりません。
商談も同じです。
- 受注できたかどうかだけではなく、商談の中身を振り返ること
- 自社として良かった点と足りなかった点を見極めること
- 次に改善すべきことを具体的にすること
この積み重ねが、成約率を高める営業改善につながります。
経営者が持つべき商談改善の視点
会社経営において、受注して売上を上げ、利益を確保することは常に求められます。特に中小企業では、一件の商談が資金繰りや事業計画に大きく影響することもあります。だからこそ、目先の売上を上げたい気持ちは当然あります。
しかし、売上を上げることばかりに意識が向くと、商談では自分の言いたいことが前面に出やすくなります。
自社の商品説明をしたい。
実績を伝えたい。
価格の妥当性を分かってほしい。
早く受注につなげたい。
その思いが強くなるほど、相手が何を聞きたいのか、どこに不安を感じているのか、どのような判断材料を求めているのかに意識が向きにくくなります。
商談前に必要なのは、自分の欲を一旦脇に置くことです。そして、相手基準で価値の伝え方を考えることです。
一方、商談後に必要なのは、相手の反応に必要以上に振り回されないことです。
受注できたから良かった。
受注できなかったから悪かった。
それだけで終わらせるのではなく、自分たちとしてやるべきことをやったのかを冷静に見極める必要があります。
商談前は相手基準、商談後は自分基準で考える
商談で最終的に受注に結びつけたいなら、次の三つの視点が欠かせません。
1.商談の目的は受注に結びつけることだと明確にする
商談は単なる説明の場ではありません。相手の課題を確認し、自社が提供できる価値を伝え、次の意思決定につなげる場です。
2.商談に臨む前は相手基準で考える
自分が何を言いたいかではなく、相手に何が伝われば判断しやすくなるのかを考えます。
3.商談が終わった後は自分基準で振り返る
相手が決めた結果に必要以上に振り回されず、自社として改善できる点を見つけます。
この複合技ができるようになると、商談の質は少しずつ変わっていきます。
残念ながら、自分としては良かれと思って実践したことでも、第三者から見ると「それは自分の価値観の押し付けです」と感じられることがあります。
また、受注できなかった時に「自分は一生懸命頑張ったのに、相手が悪かった」と解釈している限り、同じような失注を繰り返す可能性があります。
「負けに不思議の負けなし」と言われるように、受注できなかった商談には必ず原因があります。そして、その原因を見つけるには、商談後まで相手基準で考えていては不十分です。
相手の反応や結果だけを見るのではなく、自分たちのどこが良くて、どこが足りなかったのかを見極めること。その積み重ねが、次の商談の成約率を高める一歩になります。
★関連する記事は「自分の強みを活かすには「自分を薄める」のが効果が大きい」

「自分を薄める」というのは、「自分が『◯◯したい』という欲はいったん脇に置いておく→相手の『◯◯したい』という欲の実現に集中する」という状態。思考の力を使って意識的に自分を薄めることができたら、「自分の欲<お客様の欲」となり、商談も上手くいく可能性が高まります。
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