ミセルチカラの磨き方
なぜ、せっかく決めたルールは長続きしないのか?
心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。

今週は夏休みという方も多いかもしれませんね。
先月早めの夏休みを楽しんだので、私は通常通り。
今日も私の「なんだかな~」からスタートです。夏休みじゃないからへそを曲げているわけじゃありませんけれど。
「60人に対応できません」
母が暮らす介護ホームの人から言われた言葉です。
何のことかと言うと…。
母はノロウイルスに感染して以降、栄養補助ドリンクを飲んでいます。
今は食事もだんだんとれるようになってきたので、1日に1回、夕飯のときに提供してもらうということになっています。
ところが、1日に2回出してしまうとか、出し忘れるということがあって在庫が合わなくなります。
「在庫管理は家族がやる」ということを義務付けられているので、栄養補助ドリンクに名前を書き、日付も書いてはいるものの、「提供する」ところはお任せするしかありません。
今やその甘いドリンクは栄養補助というより母の小さな楽しみにもなっているので、
「どうしたら母が飲めなくてがっかりすることを無くせるか」
「どうしたら出し忘れをしなくなるか」
に頭をひねっているときでした。
「入居者60人に個別対応できません」
「家族が来た時だけ提供するようにできませんか」
「夕食にお母さんが自室から自ら持っていくようにできませんか」
…等々、言われました。
家族という立場としては、「そもそも栄養補助ドリンクが必要になったのは、ノロウィルスに感染させられたからでしょ」という気持ちがムクムクと湧き上がってきます。
一方、組織を外側から見るという立場からすると、「60人」と言うことで、「人を消している」とすぐに思いました。
「どうしたらできるか」という視点は一切なくなっています。
60人というのは、本来なら、一人+一人+一人+……=60人のはずです。
でも「60人の入居者」とひとまとめにした瞬間、人ではなく「管理対象」になっています。
だから「一人だけにそんな対応はできません」「全員にできないことはやりません」という論理が成立し始めるわけです。
一見、「すべての入居者に公平である」という考え方にも聞こえます。
でもそれが「全員にできないことは、一人にもやらない」になったら、一人ひとりに必要なことは見えなくなります。
もちろん、人手には限界もあります。人手不足なのも知っています。だから効率化もルールも仕組みも必要なのですが、順番が逆です。
人を見る→必要なことが分かる→60人を限られた人数で支えるために仕組みを作る
であるはずなのに、
60人いる→全員にできることだけを決める→そこから外れるものを「特別対応」と呼ぶ
になったら、おかしなことになるのは当たり前です。
ルールをつくることそのものが悪いということではなく、「誰のための何のルールか」が分からないことに問題があります。人を見ずに仕組みを作るときの典型です。
こういうことは、会社でも山ほどあるのではないでしょうか。
- 業務効率化のルールを作った。
- ミス防止のチェック項目を増やした。
- 問い合わせ窓口を一本化した。
- 申請フローを作った。
これらはきっと課題や問題が起こる中でできたものですから、全部それなりの理由があります。
でも、「そもそも誰のために、何のために」をしっかり踏まえているでしょうか?
せっかく仕組みを作ったのに長続きしないとか、せっかくルールを決めたのにいつの間にか無くなってしまったとか。
そういうことがありませんか?
そうなると、さらにルールを増やしたり、細かくしたりしていないでしょうか。
「効率 → 仕組み → 人」で考えて「誰のために、何のために」を後から当てはめたら、おかしな仕組みが平気で出来上がります。
でも、本来なら「人 → 目的 → 仕組み」です。
会社組織でも同じではありませんか?
社員が50人いたって、顧客が1,000人いたって、「全員に同じことができるか?」だけでルールを作ったら、その中からどんどん人が消えていきます。
なぜなら、自分たちの都合だけを物差しにして仕組みをつくろうとするからです。
私は母に聞いてみました。
「夕飯の時に部屋から持っていく?」と。
母は、はっきり「嫌だ」と言いました。出し忘れがあった日は飲むのを我慢すると言います。
「本人が部屋から持ってくれば解決」というのは、業務上は合理的です。
「夕食に行くとき、自分で持っていく」というのも簡単な仕組みです。
でもその中に発語が不自由でスタッフに遠慮をして言わない「母」は存在しないのです。
その仕組みの中に、ちゃんと人はいますか?
それでは、今日も1日お元気で。
★関連する記事は「社内最適は会社を弱くする」
問い合わせ対応のズレ、情報共有不足、担当者不在時の混乱…。これらはすべて社内最適の弊害です。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。