知恵の和ノート

2022/03/01

状況が目まぐるしく変化する中、心理的安全性を担保しつつ、社員が主体的に行動するために必要なことは?(第417話)

カテゴリー :コミュニケーション

変化のスピードが激しい時代にあっては、変化の中にある一貫性を常に意識しながら組織を運営する。

状況の変化に社員が主体的に対応するために必要なことは?

言っていることがコロコロ変わる人はあまり信用されません。

人は本能的に変化を嫌うので、

発言内容がコロコロ変わる
 ↓
変化が激しい
 ↓
矛盾を感じる
 ↓
「大丈夫かなぁ」と感じる
 ↓
信頼が薄れる

となります。


しかしながら、変化する場合には大きく分けて2種類の変化があります。

  • 状況の変化に主体的に対応する変化
  • 状況の変化に受動的に対応する変化


今は世の中の変化のスピードが激しくなっています。

このため、私たち一人ひとりの都合に関係なく、政治や経済など私たちを取り巻く環境は日々変化しています。

このため、朝礼の時には「今週はAを優先して取り組もう」と指示していたとしても、夕礼の時には「明日はAではなくBを優先しよう」と指示せざるをえないケースもあります。

すると、ほとんどの社員は朝令暮改と感じて「朝言っていたことと全然違うじゃん」と捉えます。


この場合

社長:朝と夕方では状況が大きく変わったので、優先事項が変わった

社員:朝と夕方における状況の変化を知らないので、なぜ優先事項が変わったのか分からない

ケースがほとんどです。

両者の間には

  • 状況の変化に関する情報格差
  • 優先事項の変化に対する思考の有無

があります。


人は「なぜ、そうなのか?」が腹落ちすると、変化に対しても納得します。

例えば、先の朝礼と夕礼のケースで言えば

大口取引先との商談を急遽明後日やることが決まった
 ↓
Aでなはく、Bを急いでやらなければならない

ということであれば、夕礼の指示が朝礼の指示と違っていても、「そりゃそうだよね」と納得する社員も多いかと思います。


この点、社長さんの中には状況の変化に関する情報格差を埋めようとせずに「いいから俺の言う通りにやれ」と指示する人もおられるので、注意が必要です。

しかしながら、この情報格差の部分は、状況の変化に関する情報を随時共有することで埋めることは可能です。


一方、より難しいのが「変化に対する思考」の部分です。


大口取引先との商談が急遽決まった
 ↓
より大きな売上を上げられる可能性がある
 ↓
優先事項をAからBに変える

であれば、誰でも分かりやすい流れです。


けれども、例えば

大口取引先との商談に向けてAを優先するよう指示を出していた
 ↓
ある新規先との商談が急遽明後日に決まった
 ↓
優先事項をAからBに変えるよう指示した

であったら、いかがでしょうか?


この場合、「社長は何を考えているの?」と疑問に感じる社員は必ず出てきます。

特に新規先に関する情報が少ない段階では「社長はいつも『売上重視』って言っているのに」と、判断基準のゆらぎに対して不安を感じる人がほとんどです。


最近、心理的安全性という言葉をよく耳にします。

状況の変化が激しい中にあって、優先して取り組む事項など指示する内容が目まぐるしく変わることはやむを得ない側面があります。

けれども、そこに変わらない価値判断の基準があって、その基準に基づいて状況の変化に主体的に対応して変化するのか、基準のないままに、状況の変化に受動的に対応してその場しのぎで変化するのかでは、長期的には大きな差が生まれます。


「ウチの社員は社長の指示待ちばかりで困る」とお悩みの会社の場合、

  • 状況の変化に関する情報の共有がない
  • 考える際の価値判断の基準が明確でない

かのいずれか、または両方にあたるケースがほとんどです。


経営理念で「お客様の笑顔のために」という立派な文言を掲げていても、

・対象となるお客様の要望は時々刻々変化するので、その変化に対して柔軟に対応する

・お客様の笑顔とは日々の仕事と結びつけると、具体的にはどのようなことなのかを定義する

ことがないと、絵に描いた餅になります。


社長と社員とでは視線の高さが違うので、見えている景色も違います。

そのギャップをすぐに埋めるのは難しいですが、少しでも埋めたいのであれば、「変化の中にある一貫性が伝わっているか」を意識しましょう。

「なるほど、ここでつながっているんだ!」と腹落ちできると、社員は安心し、そこから次の一歩につながります。

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