知恵の和ノート
AIに伝わらないのは、社員にも伝わっていないかもしれない。― ChatGPTが教えてくれた「伝える力」と経営のリアル ―(第586話)
AIとの対話で伝わらないことは、実は社員にも伝わっていない可能性あり。表現力は経営力。AIを使いこなす過程で、自身の「伝える力」を見直し、伝わる言葉を磨こう。
最近は毎日のようにChatGPTを使っていますが、面白いのは、自分の伝え方も鍛えられることです。
プロットを書いて文章の作成を依頼すると、まとまった感じの文章を書いてくれます。ただ、このような使い方だけでは、自分の表現力の向上にはつながりません。
一方、過去に自分の書いたブログ記事などを「ショート動画にしたいので、以下の条件を踏まえてリライトして」と依頼すると、時折、「言いたいのは、そういうことじゃないのになぁ」ということがあります。
その要因としては、元の文章の
・そもそもの表現方法が悪い(分かりにくい)
・いくつかある論点の一つだけに焦点を当てている
といったこともあれば、AI側のレベルの問題で
・こちらの意図とは違う意味で解釈している
・明らかに間違って捉えている
こともあります。
いずれにせよ、この場合、私とAIとの間でミスコミュニケーションが発生しています。もし、相手がAIではなく、人の場合だと、「なんで、分からないのかなぁ」と腹が立つかもしれません。
しかしながら、AIを相手に腹を立てても仕方がないので、
「●●とありますが、その解釈は間違っていて、ここで伝えたいのは××ということです」
という形で追加の指示を出すと、AIは落ち込むことも怒ることもなく
「なるほど!そういうことでしたか。では、すぐに修正します」
と、別の提案をしてくれます。
このようなやり取りを何回か繰り返して最終案を作成すると、「最初に書いたブログの内容だと、本来伝えたかったことが、実は上手く伝わっていなかったかも」と改めて反省することもあります。
そして、「自分で文章を書く→その文章をAという観点からまとめてもらう」というやり取りをAIとやっていると、
- 自分の伝え方の癖が分かる
- 自分の表現方法だとその主旨がどの程度伝わるのかが判明する
- Aが大事だと思っていたが、Bという観点に絞った方が面白いと気づく
というメリットがあるのを実感しています。
最初からChatGPTなどAIに丸投げだと、AIが主で、こちらは従です。一方、自分の作ったものをベースに修正や調整した場合は、こちらが主で、AIが従です。
これは会社において、仕事を仕上げていくプロセスと似ています。ただし、経営者や上司が主で、社員や部下が従という意味ではありません。会社が定めた経営理念や経営方針が主で、社長も部長も新入社員も従です。
例えば、「お客様第一主義」という経営理念は「こういう意味だ」ということを日頃のやり取りを通して社員に浸透させるのが経営者の役目であり、「今期は粗利を5%改善する」という経営方針を部下が腹落ちして仕事に活かすようマネジメントするのが部長の役割です。
AIと違って、人の場合は感情を持っているので、一筋縄ではいきません。けれども、お互いに諦めずに対話を続けることで、「こう言えば、相手に伝わる」「そのように言ってもらうと納得できる」ということは必ずあります。
AIは我々とのやり取りを通して日々学習して進化しています。一方で、AIを使う人の方も、丸投げではなく、どうすればより相手に伝わるかという意識を持ってAIを使えば、日々成長できます。
依存しすぎず、上手く共存していく。人とA Iとの関係でも同じではないかと感じる今日この頃です。
★なお、感情に関わる部分はまだAIでは苦手な分野なので、感情や思考の癖まで踏み込んだ対話をやってみたい方は「こちら」をご覧ください。
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