知恵の和ノート

2025/06/17

社員との「間合い」が変わると、会社の空気も変わる:経営者が一歩踏み出すための伝え方の工夫(第589話)

カテゴリー :コミュニケーション

社員とのやり取りに、ちょっとしたズレを感じたことはありませんか? その距離感、伝え方の工夫で変わります。

経営者が一歩踏み出すための伝え方の工夫

社長と社員の「間合い」を見つめ直すということ

 

中小企業の経営において、社長と社員との「間合い」をどう取るかは、業績以上に会社の空気を左右する大きな要素です。

 

大手企業では、一定期間で社長が交代します。経営者と社員の関係は、いわば通過点のようなものです。

しかし、オーナー経営の中小企業では、社長が10年、20年と在任するのはごく当たり前。その時間の長さは、社長にとっても社員にとっても、時に心の距離を縮めづらくする要因になります。

 

実際、社員の立場からすれば、「社長とはずっと一緒に仕事をする存在」になりがちです。だからこそ、「嫌われたくない」「でも、どう接していいかわからない」という微妙な戸惑いが生まれます。

これは決して社長が怖いとか、威圧的だという話ではありません。むしろ、「遠慮」が生まれている状態なのです。

 

先日あるクライアント企業で、「次回は社長も交えて打ち合わせします」と伝えたところ、「え…緊張します」とポツリとこぼした社員の方が複数いらっしゃいました。社長が特段怖い方ではなかったにもかかわらず、です。これは、社長と社員の「間合い」にまだ“余白”がある証拠だと感じました。

 

間合いは、意図的に変えられる

 

間合いを変えるには、いくつかの演出が効果的です。

 

  • 「場所」を変える

社長室で一対一で話す、あるいは会議室でなく、社外の喫茶店で話すなど、場所を変えるだけで空気が柔らかくなります。お酒の席で本音が出やすいというのも、その一つです。

 

  • 「時間」を変える

感情が高ぶった瞬間に伝えるのではなく、少し時間を置いてから話すと、言葉が角を取って届きやすくなります。怒りっぽい自覚があるなら、なおさら「冷却時間」を意識してみてください。

 

  • 「方法」を変える

メールは便利ですが、ニュアンスや温度感が伝わりにくく、時に「きつく」見えてしまいます。とくに大切なことは、面と向かって話すか、丁寧に文書にするなど、伝える「器」そのものを変える工夫が必要です。

 

  • 「人」を変える

直接言いづらいことは、本人の上司を通す、または信頼できる第三者を介すのも一つの手です。間接的なやり取りが、かえって真意を伝えやすいこともあります。

 

そして、最も重要なのが「言葉」を変えること

 

これが最もシンプルで、かつ最も難しい手段です。

 

  • 難しい言葉を使わず、社員が腹落ちする表現に言い換える
  • 抽象的な概念には、具体的な比喩を交える
  • 教科書にあるような正しすぎる表現ではなく、社長自身の「言葉」で語る

 

言葉は、その人の「あり方」がにじみ出ます。「社長は普段こういう表現をしないのに、なぜ急にそんなカタいことを?」と社員が違和感を抱くと、その言葉は届かなくなります。

 

社長自身が自分の言葉を変えるとき

 

社員との間合いが変わるだけでなく、実は社長自身が「見える景色」も変わります。なぜなら、言葉を変えるということは、視点を変えることとイコールだからです。

 

たとえば、

「このままじゃダメだな…」と思っていた関係性に、新たな風が吹く

社員が目を輝かせて聞いてくれるようになる

自分の話す言葉が、誰かの行動のきっかけになるのを感じる

 

こうした手応えが得られた時、「伝えるって、思っていたよりも面白いかもな」と感じるようになります。

 

「正解」はなく、試行錯誤の連続

 

間合いには正解はありません。社長の性格、社員の気質、会社の規模や文化によって、最適な距離感はまるで違います。だからこそ、あれこれ試して、都度修正していくしかありません。

 

伝わらなかったらやり方を変える。刺さらなかったら言葉を練る。社員が振り向かないなら、自分が立ち位置を変えてみる。

それを繰り返していくうちに、ちょうどよい「間合い」は自然と生まれていきます。

 

最後に

 

社員との「距離感」に迷ったときこそ、社長ご自身の想いの源(みなもと)を、もう一度見つめ直してみてください。

なぜこの会社をやっているのか。何を大切にしたくて、この道を選んだのか。

その「想い」こそが、言葉を変え、関係を変え、未来を変える力になります。

 

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