知恵の和ノート

2026/04/28

なぜ「気がついた人がやる」は機能しないのか?組織が止まる構造を解説(第634話)

カテゴリー :業務改善

「気がついた人がやる」は助け合いではなく責任放棄である。人の善意に依存する限り、仕事は止まり、事故は必ず起きる。

「気がついた人がやる」は危険
気がついた人がやる

一見、合理的で助け合いのあるルールに見えます。

 

しかし、この一言がある会社ほど、

  • 仕事が放置される
  • 特定の人に負担が偏る
  • 最終的に誰もやらなくなる

という状態に陥りやすいのです。

 

問題は人ではありません。構造です。

なぜこのルールは機能しないのか。そして、どうすれば組織として確実に仕事が回るのか。

現場で実際に起きた事例をもとに解説します。

 

「気がついた人がやる」が機能しない3つの理由

 

このルールが機能しない理由はシンプルです。

 

1.気がつかない人は永遠にやらない

 

そもそも全員が同じレベルで気づけるわけではありません。「気づく力」は個人差があり、教育されない限り揃いません。

 

2.気づいてもやらない人が必ず出る

 

人は「誰かがやるだろう」と思えば動きません。責任が曖昧な仕事は、後回しにされるのが自然です。

 

3.やっていた人ほど、やらなくなる

 

最初は善意で動いていた人も、「なぜ自分だけ?」という感情が生まれます。やがて、その人も手を止めます。

 

つまりこのルールは、最終的に誰もやらなくなる構造を内包しているのです。

 

ヒューマンエラーは防げない前提で設計せよ

 

もう一つ重要な視点があります。

それは、人は必ずミスをするという前提です。

 

どれだけ優秀な社員でも、

  • うっかり忘れる
  • 確認を飛ばす
  • 思い込みで判断する

といったミスはゼロになりません。

 

実際に、痛ましい事故の多くは「あり得ないミスの重なり」で起きています。つまり、「気がついた人がやる」でミスをカバーする設計自体が無理なのです。

必要なのは、ミスが起きても止まらない構造です。

 

事故は「ルールがあるのに守られない」ときに起きる

 

例えば、バスの降車確認。

本来は、終点で乗客が全員降りたか確認するルールがあります。

しかし現実には、「今まで問題がなかったから大丈夫」という油断から、確認が形骸化することがあります。するとどうなるか。

 

  • 確認を省略する
  • 目視ではなくミラーだけで済ませる
  • 結果として見落とす

こうして、事故が発生します。

 

ここから分かるのは、ルールがあるだけでは不十分ということです。守られる仕組みがなければ、ルールは簡単に崩れます。

 

成果が出た会社は「仕組み」で動かしている

 

ある会社では、見積り後のフォロー不足で失注が続いていました。

最初は「気がついた人がフォローする」という運用でしたが、当然ながら機能しません。そこで仕組みを変えました。

  • 朝礼で「3日経過した案件」を共有
  • 担当者をその場で決定
  • 夕礼で実施確認

 

するとどうなったか。

  • 放置案件が減少
  • フォロー漏れがほぼ消滅
  • 受注率が徐々に改善

 

ここで重要なのは、優秀な人が増えたわけではないという点です。仕組みを変えただけで結果が変わったのです。

 

中小企業でもできる「仕組み化」のポイント

 

「うちはシステムがないから無理」という声もよく聞きます。しかし、仕組み化に高度なツールは不要です。

 

ポイントは3つです。

 

1.タイミングを固定する(例:3日後)

→ 人の判断に任せない

 

2.担当を明確にする

→ 「誰がやるか」を曖昧にしない

 

3.実行確認の場を作る

→ やったかどうかをチェックする

 

この3つを押さえるだけで、「やるべきことがやられない状態」は大きく減ります。

 

「気づく人に依存する会社」から脱却せよ

 

経営者がやるべきことは明確です。

気づく人を増やすことではなく、気づかなくても回る仕組みを作ること。

「気がついた人がやる」というルールは、一見すると現場に任せているようで、実際には責任を放棄しています。

 

会社としてやるべきことは、人の善意に依存することではありません。構造で再現性を作ることです。もし今、「気がついた人がやる」というルールが残っているなら、それは改善の余地ではなく、設計ミスです。

組織は、設計通りにしか動きません。だからこそ、気づかなくても動く会社を設計することが、経営者の仕事なのです。

 

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