知恵の和ノート

2025/06/03

社員に「できます」と言われたのに…AIとの対話で気づいた「すれ違い」の正体とは?(第587話)

カテゴリー :社員教育

「できます」の一言を信じるな。信じる前に、相手の実力と前提条件を見極めるのが、指示する側の仕事。

AIとの対話で気づいた「すれ違い」の正体

社員に「これ、できる?」と聞いて、「できます!」という回答が返ってきたのに、実際にやらせてみたら、「できなかった」というご経験はないでしょうか。

リアルでは何回か経験しましたが、先日AIとのやり取りでも、似たようなことがありました。

 

私:「試算表から資金繰り表を作れますか?」

AI:「はい、もちろん可能です。提供いただいた試算表データをもとに、資金繰り表の「実績」部分(収支の実績記録)をExcel形式で作成できます。」

 

そして、以下のような情報の提供がありました。
 

「ご提供いただきたいもの(最低限)」

・試算表のエクセルデータ(月次 or 四半期の形式が望ましい)

・試算表の期間(月初~月末の日付など)

・資金繰り表のレイアウト希望(もしあれば)

・勘定科目の意味や内容に関して補足が必要な場合は、その説明(特に補助科目や内部での分類など)

 

「作成の流れ」

・試算表(Excel)をご提供いただく

・実績ベースの資金繰り表をこちらで作成(Excel形式)

・必要に応じて調整・加工し、再提出

 

そこで、先方の実力を確かめるべく、試算表のエクセルデータと資金繰り表のフォーマットをアップロードして、作業を依頼。その後の細かいやり取りは省略しますが、いくつか「このやり方で良いですか?」という問い合わせがあったので、

「まずは先ほどの情報で、どのくらいの精度が出るのかを検証したいので、あなたが正しいと思う内容で作成してください。」

と回答しました。

 

そして、最終的にデータが出来上がってきたのですが、

私:「拝見しましたが、これでは使いものになりません。試算表のデータを加工してからでないと、実績作成も難しそうですね。」

AI:「ご確認いただきありがとうございます。そして、期待に沿えず申し訳ありません。おっしゃる通り、現在の試算表はそのままでは資金繰り表に即変換できる状態ではなく、一定の前処理(科目の整備や補助科目との突合など)が必要だと私も感じました。」

結局、最初に「はい、もちろん可能です。できます」という回答で期待していた結果は得られなかったのです。

 

けれども、先方も「なかなかやるなぁ」と思ったのは

主な課題点

今後の提案

ご協力いただければできること

をすかさず提案してきたことです。

つまり、AIとしては、いろいろな条件が整えば、「できます」と答えたのであって、今回は依頼した私の方が無茶振りだったかもしれない訳です。

 

会社で上下関係があると、社員は「(本当は)ちょっと難しいかも」と感じていても、「できます」と返事をすることがあります。このため、社員の言葉を字面通りに受け取ると、「できるって言ったじゃないか!」と期待外れになるかもしれません。

 

今回の一連のやり取りで実感したのは

  • 相手から「できます」と言われても鵜呑みにしない方が良い
  • 仕事で結果を出すためには、相手の実力を見極めた上で、指示を出す方も準備する必要がある
  • 「できる」という回答で実際にできなかった際も、それで相手の評価を極端に下げない方が良い

です。

 

特に昨今の若い人は失敗を極端に恐れる傾向があり、「あいつはできない」という烙印を恐れるのを嫌がります。このため、まだ仕事に慣れないうちは、実力をある程度見極めた上で、結果につながるようなお膳立てをすることが指示する側にも求められます。

上手くできなかった際に「なんで、できないんだ。できると言ったじゃないか!」と非難するのではなく、対話を通して

主な課題点

今後の提案

こちらが協力すればできること

などを社員の口から言えるようにすることも大切ではないでしょうか。

 

なお、社員との間で最近よく「すれ違いを感じる」という経営者は「こちら」をご覧ください。

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