知恵の和ノート

2025/06/24

テンプレ通りにいかない時代の「伝える力」─壁を越えるのは、日々の研鑽あるのみ(第590話)

カテゴリー :コミュニケーション

伝え方に正解なし。だからこそ、毎回考え、試し、磨くことで、経営者としての伝える力が磨かれる。

テンプレ通りにいかない時代の「伝える力」

よく「ゴールから逆算しろ」と言われます。たしかに、その通りなのですが、交渉や依頼ごとの場合、相手は人なので、仮に「これなら上手くいきそうだ」というシナリオを作っても、こちらの想定通りに進むとは限りません。

一方、時には相手から思わぬ反応が返ってくることがあります。

 

先日も「やり方を変えてもらいたい」と思って、クライアントさんにメッセージを送った時のこと。

一生懸命に、真面目に仕事をされているので、「今までとはやり方を変える→やってきたことを否定されたと受け取る」ことは避けたいと考えていました。

やり方を変える目的は、本来その仕事から生まれる効果を考えると、必要のないことはやらない方が良いからです。しかしながら、その主旨をストレートに伝えると、相手の行動を否定する結果を招く恐れがあります。

 

私の場合、クライアントさんには「目的から考えて、AとBならどちらがより目的に合っていますか?」といったように問いかけすることが多いです。なぜなら、メタ認知力を鍛えるには、一段高い視点に立って判断することが大切だからです。

しかしながら、今回はあえて目的のことは触れずに、「毎回たいへんそうなので、やり方を変えましょう」とだけお伝えしました。すると、先方からは「お気遣いいただき、ありがとうございます」というメッセージが届いたのです。

私としては「一番スムーズな形でやり方を変えていただくには、どうすればよいか」を軸にお伝えするメッセージを考えました。特段気を遣った訳でもなかったので、かえって恐縮してしまいました。

 

今回は想定していた以上に上手くいったケースですが、逆にさんざん気を遣ってお伝えしたのに、こちらの意図や主旨があまり伝わないこともあります。つまり、交渉や依頼する際、自分なりの成功パターンがあっても、それが全ての人に通用するとは限らないということ。

 

その場合、感情的には、自分の中で

・自分の主旨や意図が伝わる人:良い人

・自分の主旨や意図が伝わない人:悪い人

というようにジャッジしがちです。

これは感情を持つ人間である以上、ある意味仕方がないことです。

 

しかし、結果だけを元に人の良し悪しを判断してしまうと、自分の仕事におけるスキルもけっして向上しません。

上手く伝わなかった相手に「今度はどうっやたら伝わるか?」を考えて試行錯誤を続けていく中で、その相手が最後まで理解を示さなかったとしても、自分の考え方ややり方に共感してくれる人は確実に増えていきます。

 

仕事においては、取引先などで、本当はあまり関わりたくないけれど、すぐには関係を断つことが難しいケースもあるかと思います。

そのような場合は、相手の反応にいちいち振り回されないことが大切。自分のスキルを上げるための練習相手として捉え、「どうっやたら伝わるか?」を考えて、いろいろと挑戦してみましょう。

 

最近はコスパ、タイパ重視の傾向が強いため、こちらの考え方や想いが伝わりづらい人とは距離を置くことが多いです。けれども、難敵ほど自分の力を磨く相手になります

時には思わぬ反応があって、自分の引き出しが一つ増えるかもしれません。

 

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