知恵の和ノート
経営者の成長を決める「自責思考」とは?ミスを力に変える習慣術(第584話)
ミスの原因を他人に求めず、「自分にできたことは何か?」と問い直す自責思考。違和感や失敗を振り返る習慣が、再発防止と組織改善につながる。
会社組織の中では「ミス=減点」「ミス=評価ダウン」という構造が根強くあります。だからこそ、多くの人が失敗を過度に恐れたり、自分のミスに蓋をしたりする傾向にあるのもまた事実です。
独立して経営者になった今、はっきりと感じるのは、ミスに対する向き合い方が経営者としての成長スピードを左右するということ。
経営においては、ミスをゼロにすることは不可能です。むしろ重要なのは、ミスからどれだけ学び、再発を防ぐ仕組みを自分で考えられるかどうかです。
「自責」という言葉には、「自分を責める」というニュアンスが強いかもしれませんが、私が考える自責とは「自分にできることは何だったかを問い直す力」です。決して自分を責めて落ち込むことではなく、課題を他人のせいにせず、自分の手で改善策をつかみにいく態度なのです。
たとえば、ゴルフをされる方であれば「シャンク」というミスショットをご存知でしょう。原因はスイング軌道、姿勢、重心の取り方など、実にさまざま。しかしプロはこのミスを単なる事故とは捉えません。原因を特定し、修正する手段を試し、再発を防ぐチェックリストを頭に入れているのです。
経営もこれと同じです。
ある社長さんは、社員との意思疎通のズレからトラブルが続出していました。最初は「部下が指示を理解しない」「やる気が足りない」と嘆いておられましたが、深掘りすると、ご自身の指示が感情に左右されていたり、曖昧な言葉で伝えていたりしたことが見えてきたのです。
そこで、「自分の意図がうまく伝わらないのは、どこに原因があるのか?」と問い直すクセを身につけたところ、会議の進め方や資料の作り方に変化が現れ、社員との連携が見違えるほどスムーズになりました。
サラリーマンは、ある意味「ミスを恐れる」ことが仕事の一部です。昇格や評価がかかっているため、失敗しないことが重視されます。一方、経営者は違います。ミスは避けられない前提で、いかにリカバリーするか、どう再発を防ぐかが問われるのです。
つまり、ミスが起きたときに「誰が悪いか」ではなく、「次にどう備えるか」を思考することが、成長し続ける経営者の条件です。
ここでひとつ、自責思考を養うための習慣をご紹介します。それは、「今日あった違和感を3つ書き出す」こと。
(例)
・なぜ、あのとき言葉が詰まったのか?
・なぜ、あの社員は不機嫌に見えたのか?
・なぜ、自分はあの場面で不安を感じたのか?
これらを「相手が悪い」で済ませるのではなく、「自分にできたことはなかったか?」という問いを添えて書き出すことで、次回に備える視点が磨かれていきます。
違和感を感じた時は自分の感情が何かしら動いた時。その場では難しくても、文字にして書き出すことで客観視することができ、思考の深みが増します。
経営の現場は、ミスをゼロにする世界ではありません。むしろ、ミスからどれだけ学び、次に活かせるかが勝負。
「すべての原因は自分の中にある」と言うと、少し重たく聞こえるかもしれません。でもこれは、他人に振り回されず、自分で経営をコントロールするという自由への第一歩でもあります。
経営者にとって最も重要なのは、結果を他人のせいにせず、次の一手を自らの意思で決められる力。そしてその根っこにあるのが、「自分にできることは何だったかを問い直す」という意味での「自責思考」なのです。
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「ちょっとした違和感」を意識的に感じることで、自分の価値観と直結することにたどり着きます。そして、経営判断を支えることになるのは、「静かな違和感を聴きとる力」です。
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