知恵の和ノート

2014/07/08

資金調達余力を計算する(第18話)

カテゴリー :資金調達

いくら資金調達できるかだけでは不十分
いつ資金調達できるかが勝負の分かれ目

資金調達余力を計算する

弊社は6月決算。

先日6月分の資料を顧問税理士の先生のところに送付しましたが、弊社では創業以来毎月の月次決算書の作成を含めて、決算書の作成をアウトソーシングしています。

特に税金の計算については複雑で面倒くさいので、税理士の先生にほぼ丸投げ状態です(笑)。

一方で、キャッシュフローの観点からは、資金調達余力をいつも気にしています。

そして、「資金調達余力=いくら資金調達できるか」という点で忘れてはならないのが時間の観点です。

現時点では弊社は、銀行借入金はゼロ。

私は元銀行員なので、自社の決算状況からすると「これくらいは借入できそうだ」というのはだいたい分かります。けれども、現時点だと、「前期の決算書が出来上がってから」と言われるのがおちなので、銀行から借入できるのは早くても8月下旬になります。

大手企業の場合は銀行が一定のクレジットラインを設定して、「5億円までだったらいつでも借りられますよ」というケースがあります。この場合は、急にお金が必要になってもすぐ借入できるので、資金調達余力への貢献度は大です。

しかしながら、中小企業の場合は、その都度毎審査を行うケースがほとんどなので、「今週末に3,000万円必要なので、何とかしてほしい」と銀行に駆け込んでもすぐに融資のOKが出ないこともあります。借入に関するこのタイムラグは常に気に留めておく必要があります。

次に売掛金。

弊社の場合は、原則として前払いでお金を頂いているので、月末時点で残る売掛金はほんのわずかです。けれども、多くの会社では毎月一定の売掛金残高があります。

この場合、決算書では「売掛金:1億円」としか表示されませんが、大事なのはその回収時期

その売掛金が来月末に入ってくるものなのか、半年後にならないと現金化できないものなのかによっては資金繰りに与える影響がまったく違います。

一方で、資産。

弊社は会社として大きな固定資産を持っている訳ではありません。このため、会社としての含み損も含み益もありませんが、業歴の長い会社だとそれなりの資産を持っておられるかと思います。

最近では資産の時価評価という考えが浸透して中小企業でも時価ベースで、「当社の不動産はどのくらいの価値があるか?」というのを計算したことがあるかもしれません。

そして、「簿価では5,000万円で計上しているが、時価ベースだと8,000万円!」「差引き3,000万円の含み益がある!!」と喜んでいる経営者もおられるかもしれません。

しかし、所有しておられる不動産をすぐに換金するという観点で考えると、「時価の8,000万円はおろか、簿価の5,000万円でも売れない」ことだってあり得ます。また、その不動産が製品を作る主力工場の土地建物だった場合、当然のことながら、事業を続けていくためには売ることは絶対にダメです。

このように考えてくると、「当社は1ヵ月以内にいくらのお金が使えるのか」というように、時間の観点を入れて資金調達余力を見た場合、会社の資金調達余力は経営者が思っているよりも小さいのです。

このため、中小企業の場合は、経営者個人としての資金調達余力はいくらかというのも合わせて頭に入れておくことが大事です。

弊社も今回決算を締めるにあたって、「当社は1ヵ月以内にいくらのお金が使えるのか」を計算したところ、ある程度想像はしていましたが、「現預金残高を除くと会社としての資金調達余力は少ない」「あとは経営者個人の資金調達余力にかかっている」ことが改めて分かりました(苦笑)。

そして、個人の資金調達余力に関しても、「昔作ったカードなので再発行が必要」といったように実際に使えるようにするには数日かかるケースも・・・。

備えあれば憂いなし

今期は弊社も9期目。更なる飛躍のために法人としての資金調達余力の増強にも取組みます。

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