知恵の和ノート

2025/07/08

「小さく始めて、大きく育てる」が結局一番強い—販路拡大で利益を残す経営者の共通点(第592話)

カテゴリー :リスク管理

販路拡大では、小さく始める&取引採算の検証がワンセット。利益なき売上増加は会社を静かに蝕む。

「小さく始めて、大きく育てる」が結局一番強い

業績が伸び悩んできた時、会社がまったく何もしないというケースはまれです。

実際には各社とも何らかの手を打つ訳ですが、それでも

・上手くいく会社

・上手くいかない会社

に分かれます。

 

何らかの手を打つ際によくあるのは「同じ商品を違う市場に売る」という戦略です。

例えば

・国内向けに売っていた商品を海外に輸出する

・店舗で販売していたものをインターネットでも販売する

・女性向け商品を男性向けに売り出す

といったことがあります。

 

この場合、上手くいかない会社がよくやるのは

大きく始める→取引採算が悪化→事業を見直し

というパターン。

 

逆に上手くいく会社は

小さく始める→取引採算を検証→事業を拡大

というパターンです。

大きく始めた場合、一時的に売上高も増える可能性があります。けれども、しばらく経ってみると、売上は増えているのに、資金繰りはかえって苦しくなっていることがあります。

 

例えば、今までは店舗などで直接販売していたが、販路拡大のためにインターネット販売を始めた場合。

最近はインターネット販売も当たり前になっているので、専用の販売ページを作っただけではすぐに売上高につながりません。このため、インターネット広告を出したり、SEO対策をやって検索順位を上げたりするための費用がかかります。

また、楽天市場やアマゾンなどに出店すると、集客はできるかもしれませんが、出店料や販売手数料などがかかります。

したがって、これらの施策が上手くいって一定の売上を確保できたとしても、広告費や販売手数料を差し引いた実質的な利益では赤字になることもあるのです。

 

月次決算を毎月きちんと行う、その際、部門別の収益管理も行う、ことを実施していれば、何か異変があった際に早めに手を打つことも可能です。

しかしながら、月次決算はやっていない、部門別の収益管理もやっていない会社の場合、「インターネット販売を始めて売上も毎月順調に伸びている」と安心していたら、いざ決算の数字を締めてみると、前期より収益が悪化していることに気づいて慌ててしまうことも少なくありません。

 

新たに販路を拡大する場合は、実際にやってみて初めて分かることもあります。また、インターネット販売やネット広告の専門家もおられますが、それらの専門家が必ずしも、会社全体の収益構造を理解している訳ではありません。

このため、売上が順調に伸びたとしても、それに伴って利益も順調に伸びているとは限りません。そして、それを確認して必要な対策を打たなければならないのは、あくまで会社の責務になります。

 

そこで、販路開拓が上手くいっている会社の場合、

小さく始める→出てきた問題点を把握する→問題点を解決でき、売上高でなく利益も伸ばせるかどうかを検証する→検証の結果、利益を伸ばせそうであれば、アクセルを踏む

という流れを自社主体で作っています。

 

販路開拓の際に事業計画として、

・1年後に売上高1億円を目指す

・3年後には新しい販路での売上高の比率を50%にする

といった数字を作ることは簡単です。

しかしながら、この段階での計画はあくまで仮説。仮説をビジネスでの勝ち筋につなげるには

計画→実行→実行を踏まえた上での計画→実行→・・・

を愚直に繰り返していくしかありません。

 

その際、単に売上高が増えていることで安心するのは危険です。売上高は契約や入金額という形で目に見えるので、把握しやすいです。一方、利益は計算しないと出ないので、把握するのはひと手間かかります。

特に既存の事業で一定の利益が出ていると、新規事業で赤字になっていても、その赤字がすぐには判明しないという課題があります。

 

新しく販路開拓に取り組む場合は

  • 小さく始める
  • 売上高だけでなく利益も含めて取引採算を把握する
  • 利益も含めて勝ち筋が見えたら拡大する

ことを徹底しましょう。

 

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