知恵の和ノート
「避けたいこと」にこそ経営のヒントがある:曖昧な目標からの脱出法(第596話)
「絶対に避けたいこと」を言語化せよ。そこにこそ、あなたオリジナルの経営判断の軸と、ぶれない意思決定が生まれる。
「何を目指しているか」という質問の他に、「何を避けたいか」と経営者にお伺いすることがあります。
その場合、前者の回答がかなりふわっとしている場合でも、後者の回答はより具体的なケースが多いです。
例えば、避けたいことが「借入はしたくない」という場合。
「これまで無借金経営を続けてきたので、たとえ銀行からでも借入したくない」
という回答もあれば
・銀行借入なら良いが、ノンバンクはから借入したくない
・自宅を担保に入れてまで借入したくない
・A銀行なら良いが、B銀行には頭を下げたくない
など、様々です。
ただし、これらの回答はまだ表面的なもの。経営者の本音に迫るためには、さらに突っ込んでいく必要があります。
そして、「自宅を担保に入れてまでは借入したくない」というケースでは、「家族に迷惑を掛ける」ことが絶対に避けたいことであれば、それをベースにして対策を考えることになります。
「何を目指しているか」という質問に対して、明確な目標が定まっているなら、「その目標を達成するには、今回はどうしたら良いと思いますか?」という問いが有効になります。
しかしながら、明確な目標がなかったり、毎回目標が変わったりするような場合は、「何を目指しているか」を掘り下げるよりは、「何を絶対に避けたいのか」を掘り下げた方がやるべきことがハッキリすることが多いです。
大谷選手のように明確な目標を掲げて、それに向けて日々努力できるなら、その方が多くの人を巻き込むことができます。このため、「明確な目標を掲げましょう」とか「より高い目標を掲げましょう」といったことが広く推奨されます。
一方、「より高い目標を」といった場合、耳障りが良く、誰もが言うような陳腐な目標になることも少なくありません。
また、どうしても、他者との比較が生まれるので、「『売上高1億を目指す』と言っても、あの経営者に比べたら、ちっちゃいよなぁ」と自己評価を下げてしまう傾向があります。
もし、ご自身がそういう傾向があると感じておられるなら、無理やり高い目標を掲げるのではなく、「自分が絶対避けたいことは何なのか」を自分に問うてみましょう。
目指す目標がどうしても同一化するのに対して、絶対避けたいことは、その人の個性がより出るのを実感しています。
前述の例で言えば、「家族に迷惑をかけたくない」ことが避けたいことであれば、その本心の奥には「なぜ、そう考えるか」という、ご本人の経験や考え方に基づく要因があります。
そして、本心の奥底にある要因にまでたどり着き、それを言語化できたら、それは「そういう嫌な思いをする人をなくしたい」という形で、オリジナルの目標にもなります。
「何を目指すのか」に関して、正解はありません。それゆえ、すぐに見つからなかったり、いま掲げている目標があまりしっくりこなかったりしても、焦る必要はありません。
一方で、「何を絶対避けたいのか」は日々ご自身の判断基準にもなるので、まずは「何を絶対に避けたいのか」を明らかにしましょう。
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