知恵の和ノート

2025/11/04

「社長の奥さんは雇うな」は本当か?言葉の文脈が経営判断を狂わせる理由(第609話)

カテゴリー :業務改善

切り取られた言葉に経営を委ねるな。判断に必要なのは「言葉の背景」を読み解く力だ。

「社長の奥さんは雇うな」は本当か?

言葉は文脈の中で捉えないと判断を間違います。けれども、昨今は言葉の切り取りが盛んに行われるので、注意が必要です。

先日、ある経営者が書いたメルマガで「会社で雇ってはいけない人」として、社長の奥さんが挙げられていました。

 

クライアントさんの中には、社長の奥様が会社に入っておられる先もあります。そして、「この奥様がおられるからこそ、上手くいっているなぁ」と感じる会社もあるので、どういう主旨なのかと思いながら、その文章を読みました。

その経営者の主張を要約すると

・会社は時には必要な投資を行うことが求められる

・一方、主婦はお金を節約することを大切にする

・主婦である社長の奥さんが会社に入ると、支出を抑えることに目がいく

・その結果、会社が成長しなくなる

というもの。

 

中小企業の場合

・社長は営業をベースに受注を取ってくる

・社長の奥様は経理を中心にお金を管理している

ことがよくあります。

 

このため、社長は

「これをやったら、もっと儲かる」

と考えてお金を使おうとした際、経理担当の奥様が

「そんなにお金を使ったら、来月の支払が足りなくなります」

と反対する場面もあります。

まさに、前述の経営者の主張があてはまる訳です。それゆえ、「社長の奥さんを雇ってはいけない」というのも、ある意味正しいと言えます。

 

しかしながら、お金の使い方に関して大切なのは

  • 会社の資金繰りをちゃんと把握しているか
  • 事業投資を行う際は費用対効果や時間帯効果を検討しているか

です。

 

家庭の場合は毎月もらえる給料がほぼ決まっているため、「いかに支出を抑えるか」が家庭の資金繰りを回すためのポイントになります。

また、お金を投資する際、短期間で儲けようと考えて、リスクを考えずに金融商品に手を出すと、痛い目にあうのはよくある話です。

 

一方、会社の場合。

売上高が毎月安定して一定のお金が入ってくるとは限りません。また、競合他社もいるので、将来に向けた事業投資をせず、お金を減らさないことばかりに重点を置くと、その間にライバルとの差がついて、そのうち巻き返すのが難しくなります。

つまり、お金が一時的に減るという一定のリスクを取りながらも、会社の将来に向けて必要な投資を続けていかなければなりません。

 

したがって、経理担当になったら、いわゆる主婦感覚のままでは、その職務を全うするのは難しいです。けれども、もし、社長が勘や過去の成功体験をベースに、やたらと無駄なお金を使うタイプなら、主婦感覚を使って支出を抑えることは一定の効果があります。

それゆえ、「社長の奥さんを雇ってはいけない」という主張は一面では正しいし、一面では正しくありません。

 

でも、そのような曖昧な言い方をしてしまうと、タイパを優先する人には「結局何なの?」と、本来の伝えたい主旨が伝わらなくなります。そこで、多くの場合、多少誤解が生じることは念頭に置いた上で、「社長の奥さんは雇うな!」といった言葉が使われます。

このような事情を念頭に置いた上で、私たちは受け取る情報をそのまま鵜呑みにせず、「ここから学べることは何か?」をしっかりと考えた上で仕事に活かすことが大切。

 

分かりやすいフレーズは印象にも残りますが、その言葉をどういう文脈の中で捉えられるか

「現代人が1日に受け取る情報量は、平安時代の一生分であり江戸時代の1年分」とも言われています。切り取られた言葉に必要以上に振り回されないようにしましょう。

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