知恵の和ノート
経営改革が進まない本当の理由─「抵抗する社員」への正しい向き合い方とは?(第614話)
経営改革に抵抗は付きもの。社員の心情に配慮しつつも迎合せず、会社の将来を守る判断を揺らがずに貫こう。

会社が更なる成長を目指して、改革を進めていると、必ず
- 反発する
- 文句を言う
- 足を引っ張る
社員が出てきます。
あるクライアントさんでも、属人的な仕事からの脱却を目指して、マニュアル作りに取り組んでいると、
「面倒くさい」
「こんなことをやっている時間がない」
「これを作っても意味がない」
という声が出てきました。
一方、
「今はエクセルを使ってマニュアルを作っていますが、もっと効率化する方法はないのですか」
「A I を活用できないのですか」
「他の会社ではどうやっているのですか」
といったように、改革を前向きに捉える社員もおられます。
人は本能的に変化を嫌います。このため、現状のやり方を大きく変えようとする際、抵抗感を示すことは避けられません。
一方、自己防衛機能が働いて
自分の不正が把握される
自分の能力の低さが明らかになる
自分の仕事のやり方を批判される
ことを避けるために、必要以上に抵抗感を示す社員もいます。
自分の不正が把握される
これは言わずもがなです。
それまでの不正は一旦不問にして、一度はチャンスを与えるのか、すぐに退職させるのかは不正の種類と程度にもよりますが、必ず厳正に対処しましょう。
自分の能力の低さが明らかになる
属人的な仕事をやっていて、経営者もそれを容認していた際、マニュアル作りを始めると、その社員の仕事のレベル感が明らかになります。
このため、改革をよりスムーズに進めるには、社員が抱く心配を一旦取り除く必要があります。
社員の中には能力はそれほど高くないのに、口が達者なために、一見すると、「仕事ができそうな人」もいます。一方、本当は能力も高いのに、口下手なために、「上司からの評価があまり高くない人」もいます。
マニュアルを作成する過程で、そのようなことも分かってくるのですが、改革を始める初期の段階で、すぐに人事評価と繋げてしまうと、抵抗する社員も増えてくるので、注意が必要です。
自分の仕事のやり方を批判される
改革を進めていく中で、従来のやり方を大きく変えることは当然出てきます。けれども、それが、その社員の批判や否定に繋がるのは避けなければなりません。
このため、マニュアル作りを行う際は、始める前に「やり方を変えることがあっても、個人的な批判はしない」ことを明言しておくのがベターです。
一方、仕事のやり方の背景にある「仕事の取り組み姿勢」については、これまでと変わることを理解してもらう必要があります。
仕事のやり方自体は、状況の変化によって、今後もいろいろと変わる可能性があります。けれども、改革によって、今まで社内事情を優先して、内向きだった社風を、「お客様の観点から見て、どうなのか」をベースに考える組織風土に変えようとするなら、社員の意識も大きく変えることが求められます。
そして、この意識改革は、一朝一夕にはできません。また、残念ながら、時間を掛けて指導しても、この意識改革ができない、意識改革をやろうとしない社員も出てきます。
その際は、人事評価制度とも組み合わせて、評価を下げて、自然退職へと誘導していくこともありです。
個人的な心情より冷静な判断を優先
いずれにせよ、長年働いてくれた社員が改革を進める際に、大きな抵抗勢力となるのは、経営者としても、心苦しいものがあります。
しかしながら、本気で経営改革を進めるなら、経営者の個人的な心情よりも、5年先、10年先を見据えた判断を優先しないと、改革は必ず頓挫します。
本気で改革を進めるなら、「去る者は追わず」では不足。「抵抗する者は拒まず、真正面から対峙して、時には退治する」の心構えで臨みましょう。
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