知恵の和ノート
「できない理由」を潰せ!「収縮型社員」への処方箋と行動を引き出す技術(第612話)
社員の「できない理由」は「やりたくない」の意思表示。やる気に関係なく、会社として進めるべき仕事は前に進める仕掛けを持ち続けよう。

打ち合わせの際、クライアントさんと話をしていると
- 「あれもやりたい」「これもやりたい」と言い出す人
- 「こういう問題がある」「あれがないからできない」と言い出す人
に分かれます。
前者を「拡散型」、後者を「収縮型」と定義すれば、社長、特に創業者である社長は拡散型のタイプが多く、社員はどちらかと言えば、収縮型のタイプが多いです。
拡散型と収縮型のどちらが良くて、どちらが悪いということはありません。
ただ、「あれも」「これも」とアイデアがいろいろ出てきても、いざ、それを実現しようとすれば、人の問題、お金の問題など、クリアしなければならないことがあります。
一方、問題点や壁ばかり指摘するだけでは、何も実現しません。問題点を指摘できても、「なら、どうする?」まで踏み込まないと、意味がありません。
つまり、両者のバランスが求められる訳ですが、よくあるご相談は
経営者が方針を示しても、社員からいろいろと注文がついて、方針通りには進まない
というケースです。
私がサラリーマンだった時は、社長が「これやれ!」と指示したら、多少理不尽と思われる内容であっても、なんとかやろうとしたものです。
しかしながら、時代が変わって、今や社長の指示であっても
「どうして、やるのですか?」
「こんな面倒くさいことはやりたくありません」
「それだったら、会社を辞めます!」
と素直に進まないことも多いです。
特に昨今はすぐに「それって、パワハラですよ!」となるので、経営者側もあまり強く言わない傾向があります。
もちろん、社長の指示内容がコンプライアンスに抵触したり、お客様に迷惑をかけたりするようなものであれば、その問題点を指摘するのはありです。
しかしながら、実際には単に「自分がやりたくない」という理由から、「こういう問題がある」「あれがないからできない」と、できない要因ばかりをあげることも少なくありません。
社長からすれば、「この仕事をやることで、もっと会社が良くなり、社員の給料も上げられる」という思いがあっても、社員からすれば
・この仕事をやる意義を見出せない
・この仕事と業績アップとの関連性が分からない
・本当に給料が上がるのかを想像できない
ために、「余計な仕事をこれ以上やりたくない」という思いの方が勝ることがあります。
この問題を根本的に解決するには
- 社員も共感できるような経営理念を定める
- その経営理念と会社の戦略や戦術に一貫性を持たせる
- 日々の仕事も常に経営理念と結びつけて、社内に浸透させる
といったプロセスが必要になってきます。
けれども、これはすぐにはできません。その際、短期的な対策として有効なのが
できない理由を代替案を使って潰していく
というやり方です。
例えば、「時間がないからできない」と言ってきたら、「1日30分だったらできる?」と聞いてみる。
もし、「30分も時間が取れない」と反論してきたら、「だったら、何分ならできる?」と聞いて、もし、「10分ぐらいなら・・・」という回答だったら、「じゃぁ、1日10分だけやって」と依頼します。
相手は「余計な仕事をやりたくない」とは直接言いたくないので、「時間がない」とか「あれがないからできない」と言っているだけです。
この点、「やる気を出してくれ」と言っても、やる気は出さないので、やれない理由を一緒に潰していって、「まずは、その範囲でいいから、やってください」と行動を促すことが大切です。
あぁ言えば、こう言う社員と対峙するのは、正直疲れます。その際、こちらが根負けして、「じゃあ、やらなくていいよ」となってしまうと、次に別の仕事を指示する際にも、また、いろいろと難癖をつけてくる恐れがあるので、注意しましょう。
人は自分が「やりたい」と心底思ったら、何か問題にぶつかった際も、「どうやったらこの問題を解決できるか」と自然と考えるようになります。
一方、そこまで思い入れのないことに対しては、問題が見つかると、収縮型の面が強く出てきて、どんどんやらない方向に思考が働きます。
もし、ウチの社員は収縮型が多いと感じておられるなら、
- 短期的には「できない理由」を潰して、まずはできる範囲でも仕事をやらせる
- 長期的には共感を生むような仕事を増やしていく
ことに取り組みましょう。
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