知恵の和ノート

2025/11/11

「人をマネジメントしようとしない」から始まる仕事の見える化-組織が回る3つの実践ポイント(第610話)

カテゴリー :社員教育

マネジメントの鍵は「人」ではなく「見える仕事」。属人化を脱した現場こそ、組織を強くする土台になる。

「仕事の見える化」で抑えたい3つの仕掛け

「社員をどうやってマネジメントするか」というご相談を受けた際、よくお話しさせていただくのは、私が最初に部下を持った時のことです。

私が最初に仕事で部下を持ったのは今から29年前、フィリピンに駐在した時。海外駐在員事務所の立ち上げだったので、新しく採用した現地スタッフがマネジメントの対象でした。

 

そこで、学んだのは「仕事はマネジメントできても、人はマネジメントできない」ということです。

「マネジメント=何とかする」と定義すると、現地スタッフは急に休んだりすることがあり、それを何とかすることは不可能でした。

 

本部への報告期限の当日になって、「今日はお腹が痛いので休みます」と電話がかかってくることがありました。本当に腹痛なのか、それとも、ズル休みなのかは分かりません。

けれども、こちらとしては、何とかしないといけないので、心掛けたのは「仕事の見える化」です。

そのポイントは3つ。

  1. 仕事のやり方をハッキリさせる
  2. 仕事の進捗状況が分かるようにする
  3. 仕事は必ず検証する

 

仕事のやり方をハッキリさせる

 

中小企業の中には、社員が独自のやり方で仕事を行っていることがあります。このため、第三者が見ると、非効率的なやり方がそのままになっていることも少なくありません。

このため、「この仕事はこの順番で、このようにやる」ということを明確に決めました。

 

仕事の進捗状況が分かるようにする


前述のように社員が急に休んだ際、他の社員に代わりにやってもらうにせよ、自分がやるにせよ、

・依頼した仕事がどこまで終わっているのか

・やりかけの仕事はどこに保管されているのか

が分からないと、仕事を引き継ぐことができません。

そこで、必ず進捗状況が分かるようにデータや書類の保管場所や保管ルールを定めました。

 

仕事は必ず検証する

 

駐在員事務所では、小口現金を用意して、ちょっとした支払いを社員にやってもらっていました。いわゆる現金出納帳のようなものをつけていたのですが、1日が終わった段階で、帳簿に記載された金額と実際の小口現金の金額が必ず合っていることを確認していました。

銀行の支店にいた時は、行員が必ず現金の残高と帳簿の残高が一致していることを毎日確認していたので、私としては当たり前のことでした。

 

けれども、小口現金を使って支払をやっている会社で、毎日現金残高を確認しているとは限りません。週に1回、または月に1回、もしかすると、決算の時だけという会社があるかもしれません。

事例として、小口現金をあげましたが、仮に何かミスや不正があっても、毎日検証していたら、すぐに分かります。けれども、年に1回ではどこで間違いが起こったのかを後から見つけるのは、すごく時間がかかります。

また、定期的に検証していれば、社員も「悪いことをしたらすぐにバレる」と分かるので、社員が出来心で悪いことを行うことを防ぐ効果もありました。

 

対象や場所が変わっても基本は同じ

 

私の場合は、部下が外国人であり、場所も海外であったという特殊事情があるかもしれません。

しかしながら、前述の仕事の見える化のポイントである

  1. 仕事のやり方をハッキリさせる
  2. 仕事の進捗状況が分かるようにする
  3. 仕事は必ず検証する

については、対象が日本人でも、また場所が日本であっても、そして、約30年前ではなく、現在であっても、通用するのを実感しています。

 

仕事のやり方をハッキリさせないと、業務の非効率が起こります。

仕事の進捗状況が分からないと、誰かが休んだら、仕事が回らなくなります。

仕事を検証する習慣がないと、ミスや不正が放置されたままになります。

 

価値観が多様化している昨今では、「人をマネジメントする」ことは益々難しくなっています。けれども、「仕事をマネジメントする」という観点に立つと、やれることはまだまだたくさんあります

 

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