知恵の和ノート
経営者は「考え方」を記録せよ|記憶より記録が会社を強くする(第605話)
事実だけでなく思考を刻め。経営者の記録が、過去を資産に変え、未来を切り開く。
先日久しぶりに学生時代の同期で集まる機会がありました。
今月海外に赴任する人がいるので、集合写真を最後に撮ったのですが、終わった後で、参加者の一人から40年近く前に集まった時の写真を共有してもらいました。
当時は社会人2年目。たしかGWの時期だったかと思いますが、調布にある神代植物公園で撮影したもの。私もまだ髪の毛がたくさんありました(苦笑)。
写真のように記録を取っておくと、変化の違いが明らかになります。
古い写真を共有してもらった後、私も過去に撮影した写真のデータを探したら、10年前に皆で集まった時の写真が見つかりました。
10年前だと、今とそれほど変わっていない気もしたのですが、直近の写真と比べると、やはり10年間でそれなりに歳を重ねてきたことが分かります。
さて、写真の場合は記録を残すことで、その人の変化が分かりやすいです。
一方、考え方の場合はどうでしょうか。
日記をつけて、「自分はこう考える」「自分はこのように思った」とその時に考えたことまで記録していれば別ですが、単に事実関係だけを記録していただけでは、考え方がどのように変わっていったのかを知ることは難しいです。
記録がないと記憶に頼るしかありません。
少なくとも、40年近く前のサラリーマンの時は、「自分の目標をどうやって達成するか」を第一に考えて行動していました。いわば、「目標ファースト」です。
既に営業担当になっていたので、半年毎に達成すべき目標(ノルマ)がありました。
・保証協会付きの融資を1億円増やす
・住宅ローンを5,000万円新規に実行する
・カードローンを100件獲得する
といった目標をクリアするために、
・どの取引先にアプローチするのか
・どうやったら新たな取引先を開拓できるのか
・もっと効率的に数字を上げるにはどうすれば良いか
を常に考えていました。
恥ずかしながら申し上げると、この時
「この提案はお客様にとって本当に良いものなのか」
という視点は少なかったように思います。
銀行の場合は、お金を貸すことがメインの仕事だったので、取引先から
「運転資金として来月3,000万円融資してください」
という申し出があった際に、審査してお金を貸すことは、お客様にとっても役に立つという側面があります。
けれども、保証協会付きの融資は銀行にとっては保全の確保に繋がるので有利ですが、取引先からすれば、借入金の利息に加えて、信用保証協会の保証料を支払わなければなりません。
このため、前述のような申し出があって
「3,000万円のうち、1,000万円は保証協会付で、残り2,000万円はプロパーでお願いします」
と提案する際は、「目標ファースト」であった側面は否めません。
まぁ、当時は銀行という大きな看板があったからこそ、なんとかなっていたのだと今は感じます。
ひるがえって、現在。「目標をどうやって達成するか」を常に考えている点は同じですが、「自分の目標は、お客様にとって何の関係もない」ことを痛感しています。
つまり、「目標ファースト」だけではやっていけないということ。
冒頭の集まりの際、順番に近況を話す機会があったのですが、私からは「社会人になった頃から、いまと同じ考え方で仕事に向き合っていたら、もっと違う結果になっていたかもしれない」とお話ししました。
2011年から毎週メルマガを発行するようになって、自分の考え方の一端を記録するようになりました。しかしながら、それまでは定期的に、自分の考え方の変遷を振り返ることはありませんでした。
人はいまこの時においては、「自分ではベストと考える選択」を行っています。もちろん、それは理想の選択とは違う可能性があります。
働いている環境、経済情勢、家族の問題など、様々な要素が関わりあうので、いつも理想の選択肢を選べるとは限りません。けれども、その時、選択した事実と、「自分がどう考えたのか」をセットで記録しておくと、将来振り返った際に、より良い選択を行うことができます。
過去の事実は変えることができません。ただし、過去の事実の捉え方を変えることで、過去の事実の位置付けを変えることはできます。
人は忘れるという特性を持っています。一方、記録を通して過去を未来に活かせるという能力も備えています。
毎日日記をつけることは難しくても、1週間に一度であれば、起きた事実とその時に自分に考えたことを記録しておくことは、それほど負担にはなりません。
記憶に頼らず、記録に頼り、過去を未来に活かしましょう。
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結果が出てからでは、どうしても、結果に引っ張られた解釈となります。会社として、何かしら大きな決断をされる際には、そのプロセスにおいて「客観的な事実と主観的な解釈を区分して記録を残す」ことで、最終的な結果如何に関わらず、過去をより活かすことができます。
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