知恵の和ノート

2014/11/18

急成長企業が半年で急転落した要因を探る(第37話)

カテゴリー :ビジネスモデル

売上と利益のバランスを確認するのは半人前の経営者
売上と利益と業務をバランスさせるのが一人前の経営者

急成長企業が半年で急転落した要因を探る

先日コールセンター運営していた会社、株式会社DIOジャパンが民事再生法を申請した旨報道されました。

私がこの会社を初めて知ったのは定期購読している雑誌「日経トップリーダー」。

今年の3月号の特別リポートで「花開いた、女性経営者の行動力」ということで、同社の本門社長が紹介されていました。ところが、同じ雑誌の10月号の特別リポートで、今度は「女性社長が陥った急拡大の罠」ということで、DIOジャパンが業務を停止した旨書かれていたのです。

わずか半年ちょっとの間で「いい会社だなぁ」と思っていた会社が一転して倒産へ。

会社に何が起こったのでしょうか。

いくつかの報道で指摘されている問題点の一つは、急激な業容拡大に社内体制が追いつかなかったということです。

経営者はどうしても売上を追い求めます。

売上を重視した時にまず問題点として指摘されるのは、利益は確保できているかという点です。いくら売上が上がっても、採算ギリギリの案件ばかりでは資金繰りが厳しくなるのはよくご存知の通りです。

一方で、売上を重視しすぎた場合に、意外と見落とされているのは、​​​​​​​売上が拡大しても業務はきちんと回るのかという点です。

品質も良く、価格も手頃な商品なら大量に売れるかもしれません。そして、工場で大量に作って、流通ルートに乗っけて売ったら終わりという商品ならそれでOKかもしれません。

けれども、特に人が介在するサービスや商品の場合、​​​​​​​売上を重視しすぎて、業務フローを軽視すると必ずどこかにひずみが出るのが普通です。

特に中小企業の場合、マニュアル等が整備されておらず、社内教育と言っても、「社歴の長い社員がOJTの中で少しずつ後輩に教える」というパターンが多いです。

このため、「年内には一気に10店舗を開店する」「売上は前期の5割増しを目指す!」と経営者が意気込んでも、​​​​​​​社内体制が追いついていかないとことがよくあります。

先日もこの一年で一気に売上を急増されたクライアントさんに「今一番気がかりなことは?」とお聞きしたところ、「既存のお取引先のフォローアップです」という答えが返ってきました。

会社が成長する際には、時には社員にも今まで以上の負荷をかけることは必要です。けれども、長く会社経営を続けていくためには、必要以上の負荷を掛けすぎないことも大切です。

あなたの会社では売上と業務のバランスは取れているでしょうか?

人間の場合、成長する過程においても、自然と身体バランスが取れるような機能が備わっています。一方、法人である会社の場合、成長する過程において、経営者がきちんと意識していないと、全体のバランスが悪いまま問題が大きくなる恐れがあります。

大きく背伸びする前には準備運動を忘れずに!

急いては事を仕損じます。

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