知恵の和ノート

2015/12/01

情報開示を使い分けて、守るべきノウハウを徹底的に守る(第91話)

カテゴリー :情報発信

すべてをオープンにして足元をすくわれるのは成長が止まる会社
オープンな状況に見せかけて足元を固めるのが成長し続ける会社

情報開示を使い分ける

最近はテレビ番組で、工場の製造工程を撮影して、「この機械では1分間に300個作っています!」といったプロセスを公開していることがあります。

でも、中には「ここから先は関係者以外立ち入り禁止です」と言って一定の区域の撮影が許可されなかったり、「この部分は企業秘密なので」という形で画面の一部にボカシが入ったりすることもあります。

多少は演出効果を狙っているのでしょうが、人間誰しも隠されると余計知りたくなるのではないでしょうか。

 

会社が長年の歳月と多くの失敗を重ねた上で築き上げてきた業務のやり方をノウハウと呼びます。

経営者としては、ライバル企業が真似するのを防ぐ意味でも、ノウハウをどこまで開示し、どこまでを秘密にするかというのは、頭を悩ませることの一つです。

仮に秘密保持契約を結んでいたとしても、他人のノウハウを盗んで使ってしまう人は防ぎきれません。

特に情報を提供した相手側が自社よりも大きい会社の場合は、ノウハウは教えた時点で既にあげたのも同然ぐらいに考えておかないとダメ。こちらはウインウインの関係を作りたいと思っていても、相手先は「いかに必要な情報を引き出して自社の儲けにつなげるか」と考えているかもしれません。

だからこそ、守るべきノウハウは徹底的に守るということをけっして忘れてはいけません。

そのためには、ポイントはここにありますということすら明らかにしてはダメです。この点、ボカシを入れて一部を公開するのは「ここに秘密があります!」と明示しているようなものです。

先ほども述べたように、人間隠されると知りたくなるものです。そして、知りたい側が力を持っている場合は、手を変え品を変え、その秘密を探ろうとしてきます。

前職の時には、世間的には優良企業と思われている会社が平気で卑劣な手段を使って他社をつぶしにかかる事例をいくつか見てきました。

会社の財務状況はできるだけ開示できるようになることで、資金調達の面では有利になります。一方で、会社のノウハウに関しては、できるだけ上手く開示しないことが事業を続けていく上で有利になります。

そのためには単に知られたら終わりというノウハウではあまり意味がありません。たとえ、やり方が分かっても、それを改善しながら続けていくことが、ちょっとやそっとでは真似できないものが真のノウハウです。

中小企業は守るべきものを守ってこそが情報開示の出発点です。

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