知恵の和ノート

2015/12/29

お客様の笑顔は会社の目標ではない(第95話)

カテゴリー :マーケティング

お客様第一を掲げて日々迷走するのは成長が止まる会社
会社を基軸にお客様を満足させるのが成長し続ける会社

お客様の笑顔は目標ではない

お客様第一主義を掲げる会社は多いですが・・・

「お客様に喜んでもらいたい」

「お客様の喜ぶ顔がみたい」

「お客様の笑顔が私たちの源です」

お客様第一を掲げて活動している会社はたくさんあります。

何かと話題のワタミも「地球上で一番たくさんのありがとうを集める」ことをグループ憲章の最初に掲げています。

会社として活動する場合やはり好意的な反応は欲しいものです。

「今日の内容はたいへん参考になりました」

「早速取組んでみます」

「ここまでやってくれるのはおたくだけです」

と言われるのはやはり嬉しいです。

一方で、批判的な反応が返ってくると、

「この言い方がまずかったかなぁ」

「これだと誤解を生むのだろうか」

「やっぱり方針を変えた方が良いのでは」

と新たな悩みが生まれてきます。

誰だって褒められれば嬉しいし、励みになります。怒られれば、腹が立ったり、落ち込んだりします。このため、お客様の反応に敏感になるのはやむを得ないところです。そして、お客様に喜んでもらうために努力を惜しまないことはとても大切なことです。

先日お話をお聞きした経営者の方も、「お客様に喜んでもらうことが仕事のやりがいだ」と、おっしゃっていました。
 

「お客様の笑顔」の落し穴

でも、中小企業の場合、お客様の喜びや笑顔の落し穴に陥ることには気をつけなければいけません。特に会社としての軸がしっかりと定まっていない段階では、「お客様が喜んでくれる→成功」「お客様が喜んでくれない→失敗」と単純化できません。

「今日の内容はたいへん参考になりました」と高い評価をいただいても、肝心の契約に結びつかない場合があります。

「早速取組んでみます」と今すぐにでもやる感じだったのに、1ヵ月経っても全然進んでいないことがあります。

「ここまでやってくれるのはおたくだけです」と言われて良い気分に浸っていても、そのしわ寄せが他の仕事に行っている時があります。

会社が「これをやりきるぞ」と定めた基準がないままに、お客様の喜びや笑顔というあいまいなものに注力しすぎると、結果的に足元をすくわれます。
 

それでも朝の挨拶は続けますか?

ちょっと例を変えて説明します。

こちらが「おはようございます」と挨拶をした時、相手からも「おはようございます」と元気な挨拶が返ってくると、とても気持ちのいいものです。一方でこちらの挨拶に対して反応がなかったり、「あぁ」という気のない返事だったりすると、なんとなくがっかりしてしまいます。

では、そのような反応を薄い相手に対してあなたはどのように対応するのでしょうか。

  1. 次も元気よく「おはようございます」と挨拶する
  2. この間は返事もなかったので、もう挨拶しない


次の行動を決めるのは、自分の考え方次第「自分はどうありたいか」によります。

朝知っている人にあったら必ず挨拶しようと続けるのか、反応がない人には挨拶しないと決めて挨拶を止めてしまうのか。これは、どちらが正解で、どちらが不正解として決めるものではなく、各人が各人なりに決めるべきことです。

でも、主体的に行動するという観点に立てば、たとえ前回挨拶を無視された人に対しても、次も元気よく「おはようございます」と挨拶するのではないでしょうか。
 

会社経営の主体は会社

お客様が喜んでくれるのかどうかというのはあくまでお客様に決定権があります。大げさに喜んでくれる人もいればはにかみ屋さんで、たとえ喜んでいても、その反応があまり表に出ないという人もいます。

だから、商品の設計やセールスの段階でお客様に喜んでもらえるよう知恵を絞ることは必要ですが、結果的にそれが上手くいったのかどうかは、その商品がいくらでどのくらい売れたのかということで判断されるべきです。

高いレベルで成功している人を見ていると、結果的にはお客様に喜んでもらえるという状況を作っています。けれども、毎日の活動の中で気を使っているのは、お客様に喜んでもらえるよう知恵を絞るという自分の力でなんとでもなるプロセスです。

そして、今日はその商品がいくらでどのくらい売れたのかという結果を検証することで、明日はお客様に喜んでもらえるために何をしたらよいかという次の行動につなげています。先の挨拶の例で言えば、どうやったらあの人は返事をするだろうかと知恵を絞って、毎朝少しずつ挨拶の仕方や声の大きさを変えて、「おはようございます」と言い続けるという感じでしょうか。

あくまで、主体者が何をするかにフォーカスが当たっています。

 

結局会社に最後までやり切る覚悟があれば、たとえ途中の反応は薄くても、長期的にはお客様の喜びにつながります

でも、目先のお客様の反応に一喜一憂している段階では、途中で反応が悪くなるという壁にぶつかると、どこを目指して良いのかが分からなくなり、迷走してしまいます。

会社経営において主体はあくまで会社

  • 自らリーダーシップを取って行動し、その結果を踏まえて次の行動につなげるのか
  • 受動的に行動して、場当たり的な行動を続けるのか

お客様の笑顔もその位置づけは会社の姿勢次第で変わります。

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