知恵の和ノート

2016/03/08

価値に着目して値下げサイクルから脱却する(第105話)

カテゴリー :マーケティング

価値を認めず値下げに着目するのは成長が止まる会社
価値に着目して値上げを目指すのが成長し続ける会社

値下げサイクルから脱却する

インターネットで商品を買う時に気になるのは、「送料はいくらかかるのか?」ということ。

私もよく利用するアマゾンの場合、通常の配送料は無料です。しかし、実際には買った本を届けてくれる人がいる訳で、その人に関わるコストを誰かが負担しています。ハガキ1枚出すのだって52円かかりますし、封書だって最低82円分の切手を貼らないと送れません。

でも、物販や物流に関しては、「タダが当たり前」みたいな感覚があるので、ちょっとでも配送料がかかると、値段の割に割高感が増します。しかし、よく考えてみると、注文したものが指定した日時に指定した場所へちゃんと届けられるというのはとてつもなくすごいことです。

以前海外に駐在していた時は、日本から出した手紙の中で届かなかったものがいくつかありました。また、私は被害には合いませんでしたが、友人の中には、日本から送った荷物がどうも途中で開けられた形跡があるということがありました。

誰だって同じものを買うのなら高いものよりも安いものの方が良いです。でも、安ければそれで良いのかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません

科学や技術の進歩で、昔100万円以上したものが今や10,000円以下で買えるようになったというのはたいへん素晴らしいことです。

先日もシステム開発会社の方が「今はサーバーの費用が安くなったので、本当に助かります!」という話をされていました。つまり、以前は開発環境を整えるのに、何十万円、場合によっては100万円以上かかったのに、今やレンタルサーバーを利用すれば、数万円単位なので、すぐにシステム開発が始められるようになったという訳です。

一方で、先の配送料の場合、最終的に人が商品を届けるという業務プロセスがあるので、安さだけを追求すると、どこかにひずみが生じています

2016年3月4日の日経MJの1面では、「ネット通販 黒子の疲弊」という見出しで

  • 事業者数が1.5倍
  • 運転手の7割が40歳以上
  • 6割が営業赤字
  • 長距離は16時間40分拘束
  • 給料は15年前に比べて1割減

といったように「トラック業界には様々な重荷がのしかかる」ことが詳細に書かれていました。

配送料に限らず、低価格を実現するために誰かを犠牲にしている事例は他にもたくさんあります。

特に中小企業の場合、立場が弱いゆえに犠牲にさせられているケースが少なくありません。また、その中小企業自身が発注先の値下げ攻勢に対応するために、その下請け先により一段の価格の引下げを要求していることもあるかと思います。

しかし、一時的な犠牲ならともかく、長い期間に渡って犠牲を強いていると、やがてひずみが大きくなって、自分にも跳ね返ってきます

自らの商売に関わることでは、値下げの圧力が強い場合に、一定の売上を確保するために、値上げをするという選択肢は取りづらいかもしれません。

でも、普段何気なく使っている商品やサービスが「なぜ無料なんだろう?」「どうしてこんなに安い価格でできるのだろう?」という視点を持っていると、問題解決の糸口が見つかります。

その際、安くするための工夫だけでなく、安いサービスが提供している付加価値は何かに着目することがポイントです。

つまり、本当は10,000円の価値があるのに、マーケットのニーズに引きずられて、1,000円で提供していないかという観点で常に考えてみることです。言い換えれば、価格の高い、低いに関わらず、モノの本質を見極める目を養うということでしょうか。

1,000円の価値しかないものを10,000円で売りつけるのはぼったくり。一方、10,000円の価値があるものを1,000円で買うのは誰かの価値をぼったくっています。

ぼったくりは不自然な行動。けっして長くは続きません。そして、値段だけで良し悪しを判断する会社は、お客さんからも値段だけで選択されます

他者の価値に着目する姿勢を続けていれば、自分の価値に着目してくれる人にも巡り会えます。

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