知恵の和ノート
コミュニケーションの質は相手への配慮と自分の信念で決まる(第219話)
思いのない、軽い言葉が社内を飛び交うのは成長が止まる会社
思いのある、重い言葉で意思疎通を図るのが成長し続ける会社
言葉は一度発せられると、一人歩きします。
後で正式に撤回しても、最初に言葉を発した事実は聞いた人の記憶に残ります。
また、本人にそのつもりはなくても、言われた方は、時にはそれを自分に対する批判と受け取るし、時にはその言葉に嫌悪感を覚えたりします。
先日も、何気なく経営者が発した言葉が社員の間で小さな波紋を生んだことがありました。
我々が、クライアントさんにお伝えしていることの一つが、
関心の矢印の向きを変える
ということです。
例えば、長時間残業して成績を上げた社員を「よく頑張ったね。ありがとう!」と褒めたとします。
経営者は純粋に感謝の気持ちを込めて、その言葉を発した場合であっても、社員の中には「社長はやはり数字が大事なんだ」「働き方改革とか言ってるけど、残業したほうがいいかも」「彼なんかたまたま大口の契約が取れただけなのに」と受け取る人がいます。
最終的に相手がその言葉をどうとらえるかまで、社長がコントロールすることはできません。
けれども、「よく頑張ったね。ありがとう!」と言う時に、
- 営業成績の数字だけを見ての評価になっていないか
- 残業を奨励する意味合いはないか
- 結果だけでなく、そこに至るプロセスも考慮しているか
という視点を取り入れているかどうか。
もし、関心の矢印を社員に向けたら、たとえ同じ社員を褒めるにしても、発言する言葉の内容が微妙に違ってくる可能性があります。そして、その時、社員が一番納得するのは、会社の経営理念に沿った判断基準で評価することです。
先の例で、「お客さんの要望をしっかり掘り下げて聴くことができたので、多少時間はかかったけれど、大口の契約に結びついた」ということであれば、社長の評価ポイントは、お客さんの要望をしっかり掘り下げて聴くということになります。
すべての仕事には、目的があります。
そして、会社の仕事であれば、本来はその経営理念と結びついているはずです。
もちろん、営業成績も大事だし、業務の効率化も欠かせません。
けれども、たとえ、相手にすぐには理解されなくても、社長が信念を持って話した言葉であれば、やがて社内にもその意味するところが伝わっていきます。
関心の矢印の向きを変えるということは、相手に擦り寄ることではありません。擦り寄ってしまうと、かえって弊害が大きくなります。
相手にどう伝わるかについて、いろいろと思いを巡らした上で、最後は自分の信じることにしたがって、言葉を発することが肝要です。
社長の言葉はご本人が想像している以上に社員には重く受け止められています。その事実を踏まえた上で、いかに自分の信念を貫くか。
自分の思いが入った言葉は相手にもずしりと響きます。
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