知恵の和ノート

2018/09/11

他社との差別化に執着しすぎず、自社の独自性を発揮する(第236話)

カテゴリー :マーケティング

独自性に囚われすぎて、自分自身をかえって見失うのは成長が止まる会社
独自性を客観視できて、自分の立ち位置を確立するのが成長し続ける会社

他社との差別化に執着しすぎず、自社の独自性を発揮する
やりたいこと(パッション)、できること(リソース)、そして、価値があること(バリュー)の重なるところを見つける。

これは、深層価値観であるコアコンセプトを発掘した後、自らの立ち位置(ポジショニング)を決める際に、弊社でいつもやっていることです。


これは、元々マーケティングで一般に言われている

やりたいこと(パッション)、できること(リソース)、そして、ニーズがあること(マーケット)の重なるところを見つける

ことの難しさを解消するために考え出したものでした。


ところが、先日元スターバックスのCEOである岩田松雄さんのリーダーシップに関するご講演の中で、個人のミッションを見つけるために

好きなこと、得意なこと、何か人のためになることが重なる部分を見つける

ことが大事だとお話されていました。


そして、その考え方のベースになったのは、有名なビジネス書の一つ「ビジョナリ―カンパニー②」の中にある「針鼠の概念と三つの円」である

情熱を持って取り組めるもの、自分が世界一になれる部分、そして、経済的原動力になるものが重なる部分を見つける

であることを知ったのです。


ポジショニングの新しい考え方として、

やりたいこと(パッション)、できること(リソース)、そして、価値があること(バリュー)の重なるところを見つける

という方法に辿りついた時は、「おっ、これは画期的な手法だ!」「これは他の誰も言っていないかも!?」と感じていました。


しかしながら、多少表現方法は違うものの、似たような概念は、既にビジネス本でも掲載されており、有名な経営者も講演等でよく話をされている項目の一つだったという訳です。


さて、「他者と差別化しないとダメだ」、「自分のオリジナリティを打ち出そう」という教えを忠実に守っていた当時の私であれば、「既に似たようなことを言っていた人がいたのかぁ」と、少しがっかりしていたと思います。けれども、今は少し捉え方が違っています。
というのも、真のオリジナリティなど存在しないと考えているからです。


人類の長い歴史から考えると、いくら一個人が自分の独自性を主張したところで、所詮限界があります。

私個人も親や家族、学校の先生や友達、仕事における先輩や同僚等から大なり小なりの影響を受けています。また、読んだ本や見た映画、今まで経験したことなどから様々な影響を受けています。

おそらく、自分が思いつくようなことは、昔のもっと頭の良い人が既に考えていたことであったり、記録として残しているものであったりするのではないでしょうか。


けれども、一人の人間が過去に起きたすべての情報を把握している訳ではありません。

実際「ビジョナリ―カンパニー」については、①は昔読んだことがあったものの、②は読んでいなかったので、「針鼠の概念と三つの円」のことは先週初めて知りました。


つまり、「これは自分独自の考え方だ!」と思っていても、それは単に知識や情報が不足しているために、似たような考え方や概念があることを知らないがゆえの自己主張にすぎないのです。


それよりも、大事なのは

どのようなストーリーを経て、その考え方に至ったのか

その考え方をどのように活かしているのか

ということです。


弊社で言えば、

やりたいこと(パッション)、できること(リソース)、そして、価値があること(バリュー)の重なるところを見つける

のは「ウチのオリジナルの手法である」と声高に自慢することではなく、「ビジョナリ―カンパニー②」の中でも実証されている考え方をベースに

いかにしてクライアントさんの具体的な成果に結びつけるか

が大切なポイントです。


結局のところ、真理を追い求めていけばいくほど原理原則に辿りつきます。そして、そのような原理原則は、時代が変わっても、状況が変わっても、その意味するところが大きく変化するものではありません。


マーケティングにおいて、「差別化」ということが盛んに言われているために、単に表現方法や言い回しを変えただけなのに、「これは私が発明したオリジナルのメソッドです!」と主張している劣化コピーが世の中にたくさん出回っています

そして、それらの劣化コピーを言葉巧みに売ろうとする手法に、右を見ても、左を見てもすぐにぶち当たります。


先週末参加した勉強会で教えてもらったフレーズが

「人は言葉の戯れの中に生きている」


これは、ある有名な現代思想家の言葉ですが、言葉の戯れの中で、自分にとって、またクライアントさんにとって、真に価値あるものは何かを見つけられるよう、これからも精進を重ねていきます。

 

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