知恵の和ノート

2018/10/09

言葉の重みは聞き手が自分勝手に作り出す幻想(第240話)

カテゴリー :コミュニケーション

発言者の信頼重視で、視野を狭めるのは成長が止まる会社
発言者の言葉重視で、視野を広げるのが成長し続ける会社

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「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」が大事。

よく言われるフレーズです。


例えば、「社長の社員に対する取組み姿勢が大事です」という言葉も、京セラの稲盛さんが言えば、「なるほどそうですね」と、多くの人が納得します。けれども、同じことを私が言った場合、中には「お前に何が分かる?」と素直には納得しない人がいます。


このため、相手から信頼されるように常に努力し、人間性を磨く必要があるという話につながります。

私もいろいろな人から、「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」が大事と教えられてきました。


確かに情報を伝える側としては、誰が言うかが大事ということを自覚しながら、研鑽を重ねる必要があります。

けれども、情報を伝えられる側からすると、「誰が言うか」よりも、「何を言うか」が大事ではないかと最近感じています。


というのも、「誰が言うか」に囚われてしまうと、現時点において、自分が信頼できる人の言葉は信じる一方で、自分が信頼できない人の言葉は信じないということになります。


つまり、一代で京セラを世界的な企業に築き上げた稲盛さんの言葉は素晴らしい実績もあるので信じるが、どこの馬の骨だか分からない会社の社長の言葉など信じるに値しないという訳です。

この場合、会社としての実績や世間で一般的に言われている風評が基準となり、信じる、信じないを決めていることになります。


私は稲盛さんとは直接お会いしたことはありません。けれども、前職の時、グループ会社と一緒に仕事をさせていただいたことがあります。また、友人で関連会社で働いていた人から、いろいろと裏話を聞かせてもらったこともあります。

それらの情報を基に考えると、私の場合は「誰が言うか」を重視してしまうと、その言葉をそのまま額面通りには受取れないのを感じています。


しかし、このことは客観的に見た場合、物事を一面から見ているがゆえに、かえって得られるべきものを見失っていることになります。


つまり、

口では耳障りの良い立派なことを言っているが、実態はかなり違うので、あまり信用できない
 ↓
言葉が本来意味することよりも、その人の言葉と行動との不一致に焦点が行っている
 ↓
言葉の意味する本質を自分の中で取り組もうとしない
 ↓
その言葉を自分の成長に活かせない

という流れになります。


これは、すごくもったいない話です。

信頼できる、信頼できないという判断も実際はごく限られた情報の中で行っているにすぎません。そして、仮に直接会ったことのある人でも、その人がその本質をすべてさらけ出している訳ではありません。

 

このため、

「あの人の言うことなら信頼できる!」

「あの人の言葉には間違いない!」

「あの人の発言はすごく納得がいく!」

というのも、自分の小さな経験からくる思い込みです。


それゆえ、たとえ嫌いな人から言われた場合でも、

「あの人の言うことの中に真実はないのか?」

「あの人の言葉も実は正しいのでは?」

「あの人の発言に納得いかないのはなぜか?」

と掘り下げていくことで、今までの自分では気づかなかったことを発見できることがあります。


先日もある人から「えっ、ここでそんなことを言うの!?」とちょっとショックを受けたことがありました。

けれども、その後、冷静になって考えてみると、「あの人の言葉も一面では正しいのでは?」ということに気づき、弊社のサービス改善に繋げることができました。


言葉は人の口や文面から発せられるために、どうしても、その言葉を話した人、書いた人と関連して捉えがちです。けれども、こちらがその人を100%理解している訳ではない以上、勘違いや誤解を生じるのは仕方ないところ。

したがって、時には、「誰が言うか」よりも、「何を言うか」が大事という観点からその言葉を多面的に捉えましょう


門戸は広く、洞察は深く、行動は早くです。

 

言葉を多面的に捉える「コアコンセプト・マーケティング&マネジメント」の概要は「こちら」をご覧下さい。

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