知恵の和ノート
経営理念の観点から会社の苦情窓口対応を検証する(第277話)
支離滅裂な行動で、経営理念の価値を半減させるのは成長が止まる会社
首尾一貫した行動で、経営理念の価値が向上するのが成長し続ける会社
何かあった時にどこに連絡するのか?
普段は意識していなくても問題はありませんが、いざトラブルが発生した時、
- 誰に言えば良いのか?
- 最初に連絡すべき人に連絡が取れない時はどうすれば良いのか?
- 仮に連絡が取れても、問題が解決しない時はどうすれば良いのか?
というのは、予めハッキリさせておいた方が社内にとっても、社外にとっても有効です。
実は先日義母が介護付き老人ホームに入居したのですが、入居にあたって、施設長から詳細な説明がありました。その際、「これはいいなぁ」と感じたのは、苦情対応窓口のところです。
会社とすれば、何かトラブルがあった時にできれば穏便に済ませたいと考えるのが一般的です。
担当部署で起きたトラブルは部内で解決して社長にはあまり知られたくありません。また、会社としては、社内で判明した問題はすぐに社内で解決できればベターであり、行政や監督官庁などには突かれたくないのが本音です。
けれども、苦情対応窓口に関して説明を受けた際、書類には
1.直接の担当部署
2.会社の本社
3.市役所の担当課
4.国民健康保険の担当窓口
5.東京都の担当課
と、5つの窓口が明記してあり、各窓口について、電話番号と対応時間がしっかりと記載されていたのです。
我々は一定の信頼を置いて、商品を買ったり、サービスを利用したりします。
本当は何もトラブルがないのがベストです。けれども、現実問題として何かしらの問題が起こるのはやむを得ないところです。その際、最初は一次窓口に連絡するのが普通です。
しかし、最近の企業の対応を見てみると、Q&Aの部分は充実させていても、何かあった時の連絡先は、ホームページをくまなく調べないと出てこなかったりするなど、わざと分かりにくくしているところがほとんどです。
そして、ようやく見つけた連絡先に電話しても、なかなか電話がつながらなかったり、ようやくつながっても、担当者が不慣れだったり、電話をたらい回しにされたりして、こちらの質問に的確に答えてくれることがまれだったりします。
そうなると、ただでさえ、トラブルが起こってイライラしているのに、対応の悪さに対する怒りが加わって、「いい加減にしろ!」と怒鳴りたくなることも少なくありません。
この点、先の老人ホームの説明は、「もし、私に言ってもらちがあかないことがあれば、ここに連絡してください」というものだったので、かえって我々に安心感と信頼感を与えるものでした。
もちろん、業務効率化の観点から考えると、会社としても、いちいち細かい問題まで連絡されても、困るという事情は充分に分かります。しかしながら、もしその会社が「お客様のために頑張ります!」という経営理念に掲げているとしたら、苦情連絡対応窓口の連絡先をわざとわかりにくい場所に表示しているのは、その理念と矛盾する行動になります。
立派な経営理念を定めても、実際にやっていることが「これってどうなの?」と思われてしまっては、その価値が半減します。
お客様が興味を持つのは、あなたの会社の経営理念そのものではなく、その理念を反映した行動です。
この観点から、現在やっている仕事を見直してみると、改善できることはまだまだ多いのではないでしょうか。
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