知恵の和ノート

2020/01/07

社長の決断の重みは社長自身の明確な価値判断の基準で支える(第305話)

カテゴリー :コアコンセプト

社長が曖昧な感覚に基づき、その場しのぎの決断を下すのは成長が止まる会社
社長が言語化された価値判断の基準をベースに決断するのが成長し続ける会社

社長の決断の重みは社長自身の明確な価値判断の基準で支える

サラリーマンではなく、独立して事業を行う理由としてよく挙げられるのは、「自分の思った通りの仕事をしたい」ということです。

サラリーマンとして会社に勤める場合、どんなに優秀な人であっても最終的には社長を始めとする上司の指示に従うというケースがほとんどです。この点、独立起業して事業を始めれば、会社のトップは自分自身なので、サラリーマン時代よりも自由度は格段に上がります。

私自身も14年前に独立した時、明確に「これがやりたい!」という目標はなかったのですが、少なくとも「いい加減、社長に振り回されるのは嫌だ」という気持ちは多分にありました。


特に社長が株式の大半を持っているオーナー企業の場合は、上場企業とは違って株主の意向を気にする必要がありません。このため、一国一城の主であるオーナー社長の場合は「自分の思った通りの仕事をしたい」という点では、ある意味上場企業の社長よりも恵まれています。

しかしながら、多くのオーナー経営者が実感されているように「自分の思った通りの仕事をしたい」と考えていても、現実はなかなかそうはいきません。


上場企業であれば、その信頼を背景に商品が売れることもありますが、中小企業の場合、その信頼を築くのに、かなりの時間と手間がかかります。また、仮に100%自分が株式を持っていて株主対策は不要だったとしても、銀行から多額のお金を借りている場合、銀行の動向には常に注意を払う必要があります。

一方で、大手企業であれば、優秀な社員も多いため、適当な指示を出しても、ある程度合格ラインの仕事ができるのに対して、中小企業の場合、懇切丁寧に指示を出しても「何回同じことを言わせるのか!」と社員を怒鳴りつけたくなるケースがたくさんあります。

 

したがって、現実問題としては、自分が社長になった時に「自分の思った通りの仕事をしたい」と思い描いていた通りに会社経営できている人は案外少ないのではないでしょうか。

しかしながら、仮に思っていた通りの仕事ができていなくても、会社のトップとして、最終的に「〇〇する」という決断を下せるのは社長しかいません。その決断が自分にとってはベストなものでなくても、会社にとって最善と考えられる方法を選択するのは、会社の中で社長ただ一人です。

 

我々がクライアントさん向けにサービスを始める際に社長とのマンツーマンのセッションで、社長の価値判断の基準となるコアコンセプトを明確にすることに拘っているのは、会社の運命を左右する社長の決断において、できるだけ迷う要素を減らすためです。

長い人生経験を経る中で、人は思考する際にも、どうしてもその人なりの癖が出ます。

 

私のケースで言えば、足りなくなることに対する恐れがあります。

当然のことながら会社経営ではお金が足りなくなることは最も避けなければなりません。けれども、社長さんの中には、「お金が足りなくなれば、また売上を上げればよい」「足りなければ借りればよい」という感じで、会社の預金残高が少なくなっても「まぁなんとかなるよ」という感じで悠然と構えている人もおられます。

しかし、私の場合は、家のトイレットペーパーの在庫が少なくなってもすごく気になる性質なので(汗)、一定のお金が手元にないと不安になるし、借入金もできるだけ減らしたいと考えがちです。このような考え方は良い側面もありますが、事業を大きく伸ばすという点から見ると、かえって足かせにもなります。

今ではなぜ足りなくなることに対する恐れがあるのかについて、自分のコアコンセプトと結びつけて分かっています。このため、お金の増減に対して、自ら感情を上手にコントロールできるようになり、必要以上に一喜一憂しないというマインドセットができています。

 

自分の思考の癖は自分ではなんとなくは分かっていても、それをきちんと言語化できていないと、大事な時に間違った判断を下す要因にもなります。

社長の決断次第で会社の業績は大きく変わります。

あなたは、その決断のベースとなっている自分の価値判断の基準を言葉として把握できているでしょうか。

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