知恵の和ノート

2020/12/29

(第356話)会社を「預かりもの」と捉えることで見えてくる5つのポイント

カテゴリー :経営者

会社は「自分のもの」ではなく「預かりもの」と捉える

会社を「預かりもの」と捉えることで見えてくる5つのポイント

オーナー企業の場合、オーナー経営者にとってはまさに

会社=自分のもの

です。

一方、上場企業など資本と経営が形の上では分離されていても、経営トップにとって

会社=自分のもの

と感じて行動することが多いように思います。


このこと自体、「当事者意識を持って仕事をする」という点ではけっして悪いことではありません。

しかしながら、そこから一歩踏み込んで

会社=預かりもの

と捉えることで、更に可能性が広がるように感じます。


会社を「自分のもの」ではなく、誰かから自分が一時的に「預かっているもの」と考えたら、次のような変化が生まれてきます。

  1. 自分勝手にやらない
  2. より良い状態に保つ
  3. 変えないもの、変えるもの、変わるものを識別する
  4. いつでも渡せる状況を意識する
  5. 客観的にベストと考えられる後継ぎを探す

 

1.自分勝手にやらない

 

人は自分のものだから大切にするという習性がある一方、自分のものなら「まぁ、いいか」と簡単に割り切る傾向もあります。


ご本業のかたわら、自己資金で株式投資をやっておられるクライアントさんは「お客さんのお金を預かっていたら、もっと投資で成果を上げられるのに」とおっしゃっておられます。

もちろん、実際に人のお金を預かって投資することは、いろいろな規制や制約があり、実際にはやっておられません。

 

けれども、自分の儲けたお金で投資をしている場合、「(損を出しても)まぁ、仕方ないなぁ」と考えるけれど、人のお金の場合はそうはいきません。

  • どの株に投資するか
  • 投資のタイミングはいつが良いか
  • 投資金額はこの金額で妥当か

等について、より慎重かつ緻密に考えるために「もっと成果が上げられる」と確信されているのです。


株式投資など金融の場合は「人のお金を預かる」ことが多いので、比較的分かりやすいかと思います。

けれども、一般的な事業会社においても、いま手元にある資産を「預かりもの」と考えれば

  • どの事業に経営資源を投入するのか
  • 投入するタイミングはいつが良いか
  • 投入する金額はいくらが妥当なのか

をより慎重かつ緻密に検討するのではないでしょうか。


2.より良い状態に保つ

 

「預かりもの」であれば、壊すことはもちろんのこと、劣化させることも避けなければなりません。そして、できれば自分が預かっている間に、できる限り良い状態を保ちたいと考えるのが普通です。

会社で言えば

  • 壊す=倒産する
  • 劣化する=業績が悪化する

です。


壊すに相当する「倒産」については、事象として比較的分かりやすいですが、劣化するに相当する「業績が悪化する」については、客観的に評価することが難しいです。

全体の業界の市場が縮小している中で、売上が大きく減ってしまうのは数字的には業績悪化と見なされます。しかしながら、市場のニーズが大きく変化する中で預かったタイミングがちょうど過渡期になった場合もあるからです。

いろいろと手を打っても、すぐに売上改善につながらないことがあり、市場の転換期の「預かりもの」の場合は、減収減益が必ずしも、劣化とは言えないのです。


この点、会社を短期的な「預かりもの」と考えると、後への影響を考えずに目先の利益追求に走る可能性もあります。そして、それが本当に「預かりもの」として、より良い状態なのかどうかは別問題です。

この時代に生まれたからには、この時代にふさわしいお役目があります。そして、いま会社を預かっているなら、やはりこの時代にマッチした状態があります


3.変えないもの、変えるもの、変わるものを識別する

 

2の「より良い状態を保つ」とも密接に関連していますが「預かりもの」である場合

  • 変えないもの
  • 変えるもの
  • 変わるもの

を識別することで、やるべき行動がハッキリします。


会社で言えば「経営理念」があり、長年伝えられてきたものは「変えないもの」の典型かもしれません。

しかしながら、その中で表現が難しくてなかなか社員に伝わらないものがあれば、それは「変えるもの」になります。

また、会社を取り巻く環境の変化に伴い、言葉そのものは変えなくても、その解釈が「変わるもの」もあります。


いずれにせよ、「預かりもの」も世の中の流れに沿って柔軟に変化させていくことが求められます。

一方で、人は本能的に変化を嫌がるので、何を変え、何を変えないのかを明確にすることが多くの人にとって安心材料になります。


4.いつでも渡せる状況を意識する

 

「預かりもの」である以上、誰かに渡すことが必要になります。しかしながら、人に渡すとなると、やはり「引継ぎ」がポイントになります。


あるクライアントさんで、経理など管理部門などを任せていた社長の右腕だった人が突然お亡くなりなるということがありました。

お金出し入れや日常の振込み等、事務管理関係の仕事は、その右腕だった人にすべて任せていたため、一時期仕事が回らず、たいへん困った状況に陥ってしまったのです。


そのクライアントさんに関しては、弊社の方で仕事の見える化をお手伝いさせていただいたのですが、「預かりもの」である以上、「誰かに何かが突然起こっても、いつでも次の人に渡せる」状況を作ることは絶対欠かせない要素です。


5.客観的にベストと考えられる後継ぎを探す

 

「預かりもの」である以上、次に預ける人を決める必要があります。

その際、オーナー企業であれば、

  • 親族
  • 幹部社員
  • 第三者

に次を託すことになりますが、人から人への引継ぎである以上、どうしても、感情に左右される部分も多いかと思います。


「やっぱり息子にやってほしい」

「あの部長なら自分の意思を継いでくれる」

「経営手腕のある彼なら心配ない」

というように、現時点における経営トップの意向が後継ぎの指名に大きく影響を及ぼすのは当然です。


けれども、「預かりもの」の観点からみた場合

「息子だと頼りない」

「あの部長だと本人の意思が見えない」

「他社とウチでは状況がまったく違う」

となれば、気持ち的に「Aさんに預けたい」と感じても、客観的に見れば「(Aさんより)Bさんの方がふさわしい」ということもあります。


この辺りのことは人の感情が絡む部分なので、とても難しい判断になります。

けれども、

会社=預かりもの

という視点を持てば

会社=自分のもの

と考えていた時と比べて、違う決断が生まれてくる可能性があります。


「会社=預かりもの」と捉える考え方は、「会社=自分のもの」と考えるよりも、より一段高い視点です。視点を高く持つことで、見えてくるものも、かなり違ってきます

先行きの読めない時代が続きますが、より高い志と視点を持って、この難局を乗り切りましょう

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