知恵の和ノート

2022/12/20

経営者として期待される役割を全うするための3ステップ(第459話)

カテゴリー :経営者

経営者として期待される役割は変化するので、まずは自分が本領を発揮する役割を正しく自覚する。

経営者として期待される役割を全うするための3ステップ

事業承継で揉める要因の一つに「経営者として期待される役割」があります。


創業者の場合

先頭に立って引っ張る
 ↓
社内の中心で仕事を回していく
 ↓
(幹部社員が育って)後ろで見守る
 ↓
(普段の仕事は社員に任せて)次の戦略を仕掛けていく

というように、会社の成長に沿って担う役割が変わってきます。


本人が得意か不得意かに関係なく、経営者は期待される役割を担うことを求められます。

仮に自分が先頭に立って社員を引っ張るのが得意であっても、社員数が増えてくると

管理職を育てる
 ↓
管理職を通して社員が育ち、仕事が回る

仕組みを作っていかないと、会社の持続的な成長につながりません。


一方、後継社長の場合は事業承継するタイミングで「経営者として期待される役割」が違ってきます。

業績が安定している中で事業承継するなら、後方で見守ったり、少し距離を置いて、新しい仕組みや戦略を仕掛けたりすることでOKかもしれません。

しかしながら、業績が悪化している状況だと、たとえ本人が先頭に立つタイプではなくても、後継社長自ら先頭に立って皆を引っ張る必要があります。


また、会社の業績とは関係なく、先代社長が経営者として期待する役割と後継社長が得意な経営者として担う役割は一致するとは限りません。

特に創業社長の場合は

・先頭に立って社員を引っ張る

・中心に立って社員を回していく

のが得意な人が多いです。

そして、ご自身なりのやり方で業績を伸ばしてこられたので、後継者である二代目社長が

・社員を後方で見守って育てる

・社員とは距離を置いて仕掛けをする

タイプだと、「アイツは経営者として物足りない」という評価になったりします。


このような問題に対処するには

  1. 自分が得意な役割はどのようなものかを本人が正しく自覚する
  2. 自分が期待されている役割がどのようものか を正確に認識する
  3. 両者を調整して、会社がさらに成長するために自分が果たすべき役割を担う

ことが求められます。


先日大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が終わりました。

ドラマなので、史実とは違う部分もあるかと思います。

それを承知の上で、「源氏は3代で終わったが、北条家は執権として17代まで続いたのはなぜか」を私なりに解釈すると

・源氏:鎌倉幕府の創始者である源頼朝は前述の役割の調整が上手くできたが、後継者である源頼家や源実朝はそれができなかった

・北条家:初代執権である北条時政の後を継いだ北条義時が自分の役割を全うし、さらに三代目の北条泰時がその役割をさらに発展させる形で引継いだ

ことにあるです。


将軍と執権では担うべき役割や期待される役割が異なります。

歴史上のことなので、事実は分かりません。

ただ、鎌倉幕府を一つの会社と考えると、北条家の人たちが

・将軍と執権の役割を認識して、あえて執権という役割を担った

・当初は混乱もあったが、三代目までに執権が実際の仕事を回していく仕組みを確立した

ことで、140年以上会社が続いたのではないでしょうか。


人には得意、不得意があります。

しかしながら、

  • 自分が得意なことは何か、また、苦手なことは何かを自覚する
  • 仕事で求められている役割は何かを正確に把握する

ことができれば、あとはやり方の問題になります。


海外では起業する際に、CEO、COO、CFOがグループを組んで仕事に臨むことが多いので、事業展開のスピードが速いです。この点、日本の中小企業の場合、社長一人がCEO、COO、CFOのすべての役割を担って仕事をされているケースが少なくありません。

もちろん、最初から人材を揃えて仕事をするのは難しいかもしれません。

しかしながら、そのような場合でも、「いつかは苦手なCFOの役割を手放そう」と意識して仕事に取り組むのか、「苦手でも頑張ってCFOの役割を全うしよう」と考えて仕事をするのかでは1年後、3年後の会社の姿も変わってきます。


まずは

  • 自分が得意な役割はどのようなものかを本人が正しく自覚する

ことに取り組みましょう。


なお、自分が得意な役割を正しく把握て仕事に活かしたい方は一度弊社までお問い合わせください。

拙著「『心意気』から始める経営改革のススメ」の第10章でも書いたのですが、「4つの立ち位置」を知って本領を発揮することがご自身と会社の成長につながります。

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