知恵の和ノート

2023/11/28

先に捨ててこそ浮かぶアイデアと得られる果実もあれ(第508話)

カテゴリー :意識改革

資金繰り的にみて許容可能な損失の範囲内なら、先に捨てることで、新たな果実を手にできる可能性が高まる。

先に捨ててこそ浮かぶアイデアと得られる果実もあれ

Aができたら、Bを止めます

打ち合わせの際、このようなご発言がクライアントさんから出てくることがあります。


例えば

(採算の良い)A社と新たに取引を始める
  ↓
(採算の悪い)B社との取引を止める

という感じです。


ただ、経験則から言うと、実際には

・なかなかA社との取引ができない

・B社との取引がそのまま続いている

ケースが少なくありません。

つまり、

・A社との取引開始

・B社との取引停止

という二つとも達成していない状況です。


一方で、先に「(採算の悪い)B社との取引を止める」決断をして、実行された会社の場合は、その後「(採算の良い)A社と新たに取引を始める」ことに成功されているケースが少なくありません。

つまり、結果的に

・A社との取引開始

・B社との取引停止

という二つとも達成されている状況です。


本当は止めたいけれど、なかなか止められないB社との取引。

要因は大きく分けると3つあります。

1.人は本能的に変化を嫌うこと

2.過去の経緯やしがらみがあること

3.B社との取引を止めても、A社との取引ができる保証はないこと


1.人は本能的に変化を嫌うこと

本当は「嫌だなぁ」と思っていても

・毎月一定の売上が上がる

・やり方は毎月変わらないので、余計なことを考えずに済む

・もしかすると、将来大口の契約に結びつくかもしれないという淡い期待がある

があるような場合、思い切って何かを止めるという決断はなかなかできません。


2.過去の経緯やしがらみがあること

・創業の時以来のお取引先である

・以前苦しい時にお世話になった

・B社の社長はこの業界ではよく知られている

といった状況だと、単純に取引採算が悪いからといって急に取引を止めるのは難しいかもしれません。


3.B社との取引を止めても、A社との取引ができる保証はないこと

当然のことながら、A社と取引できるかどうは相手先のあることなので、挑戦してみないと結果はわかりません。


このように考えると、「A社との取引ができたら、B社との取引を止める」という考え方自体は理にかなっています。

では、なぜ理にかなった考え方に基づいて行動しているにも関わらず、

・A社との取引開始

・B社との取引停止

という二つとも達成していない状況が多く生まれるのでしょうか。


一つには「先に捨てる」ことのメリットがあります。

採算の悪いB社との取引を止めることでB社からの売上はなくなります。

しかしながら、B社との取引に関してかけていた

・お金

・時間

も同時に減ります。

例えば、B社との取引では事務負担が大きく、社員が毎月残業して対応しているようなケース。

B社との取引がなくなったことで

・お金:社員の残業代

・時間:社員の労働時間(B社との取引に関わる時間)

も減ります。

また、会社として一つ方向性をハッキリさせたことで一定の危機感が生まれ、新しいアイデアを出す社員が生まれてくる可能性があります。


社員がたくさんいて「A社との取引ができたら、B社との取引を止める」を実現するために

・A社との新規取引開拓に専念できるチーム

・B社との取引維持に専念できるチーム

の両方が組成できるなら、問題ないかもしれません。

しかしながら、社員数も限られていてA社との新規取引開拓に関与できるのが、せいぜい一人しかいないケースだと、最初の前提条件である「A社との取引ができたら」がそもそも達成できません。

特に社員の協力が必要な場合、従来からあるB社との取引維持に関係する仕事に加えて、さらに負荷がかかることになるので、よほど意欲があって、能力的にも優れた社員でない限り、「ちょっとこれ以上は無理です」と言われる恐れもあります。


もちろん、会社経営を続けていくという点では資金繰りの観点から、B社との取引を止めたことによる影響を見積もる必要があります。止めると、すぐに資金不足に陥るようなら、当面は取引を維持せざるを得ません。

ただ、その影響が許容可能な範囲であると判断された場合は、先に「(採算の悪い)B社との取引を止める」ことは有効です。


ちなみに、なかなかB社との取引を止められない3つの要因

1.人は本能的に変化を嫌うこと

2.過去の経緯やしがらみがあること

3.B社との取引を止めても、A社との取引ができる保証はないこと

のうち、1と3については、経営者の感情や思考の癖とも密接に関連しています。

 

要は

・何かを変えることは怖い

・何かを変えたからといって、すぐに成果が出るとは限らない

・それなら今変えない方が良い

という感じです。

このように感じ、考えること自体、良いことでも悪いことでもありません。


問題がより大きくなるのは、このような感情や思考の癖を無視したまま、B社は

・創業の時以来のお取引先である

・以前苦しい時にお世話になった

・社長はこの業界ではよく知られている

といった要因2に相当する事情を並び立てて、本来やるべきことを先延ばしするケースです。


仮に過去にお世話になった取引先であっても時間の経過とともに先方の事情も変わってきます。

また、最終的に取引を止めるにしても、

・先方に迷惑をかけない

・先方に対して失礼に当たらない

やり方はいくらでもあります。


なお、ご理解いただきやすくするために、取引採算という基準でご説明しました。ただ、申し上げたいのは取引採算の悪い会社との取引はすぐに止めましょうということではありません。

資金繰り的にみて許容可能な損失の範囲内なら先に捨てることで、新たな果実を手にできる可能性が高まるということです。

 

何かを新たに始めるには一時的に大きな負荷がかかります。

一日24時間、一年365日という時間は変わらない中、何かを先に捨てることで、そこに時間的な余裕と心と思考の変化が生まれます

なお、「自分は捨てるのは苦手だなぁ」と感じておられる方は、「こちら」のご利用もご検討ください。

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