知恵の和ノート
「また聞いてきたのか!」と嘆く前に|人材育成を楽にする3つの仕掛け(第604話)
社員の質問攻めをなくす鍵は、マニュアル・判断基準・責めない姿勢。答えをすぐに与えず、社員が自ら考える仕掛けを続けよう。
「社員がいちいち聞いてくるので、煩わしい」
経営者とお話していると、よく話題に上るお悩みの一つです。
- 経営者:それぐらいのことは自分で考えて欲しい
- 社員:何か問題が起きたら、嫌だからちゃんと確認したい
というギャップがあります。
このため、経営者が
「こんな下らないことで、自分に質問してくるな!」
と思っていても、社員は
「後になって怒られるのは避けたい」
という思いが強いので、どうしても相互に不満が残ります。
これに対する解決策は3つ。
- 標準化できるものは言葉として文字に残す
- 標準化しにくいものは判断基準を示す
- 判断基準に沿った行動の結果については社員を責めない
1.標準化できるものは言葉として文字に残す
いわゆるマニュアル化です。そして、このマニュアルは単に作るだけではダメ。
もし、マニュアルに書いてあることを社員が質問してきたら、
「まずマニュアルの15ページを読んで」
というように、社員がマニュアルを読ませる習慣をつけさせることがポイントです。
一方で、そのマニュアルを読んだ上で、社員が質問してきた際は、きちんと答えることが求められます。
2.標準化しにくいものは判断基準を示す
マニュアル作成の件をご提案すると、よく言われるのが
「ウチの場合は、案件毎に内容がいろいろあるので、マニュアル化はできない」
というご回答。
もちろん、業種業態によっては、対応の仕方をその時々の事情に応じて柔軟に変えなければならないケースもあります。
では、そのような際、会社としての判断基準を社員に示しているかと言えば、前述のように「ウチはマニュアル化できない」という会社に限って、判断基準がなかったり、あっても、一部の社員しか知らなかったりすることが多いです。
・あくまで価格を重視する
・価格は考慮に入れるけれど、一定の品質は維持する
・この品質を満たさない材料は、いくら価格が安くても採用しない etc.
判断基準に正解はありません。けれども、一定の判断基準があれば、選択肢の中からどれを選んだら良いかは少し考えれば、分かります。
もし、会社として仕事を進める上での判断基準を既に決めている場合、社員から質問があったら、
「判断基準Aは知っているよね。Aの基準から考えた場合、どうしたら良いと君は考える?」
というように、相手に考えさせましょう。
最近の人は考えるのを面倒くさいと捉えるので、すぐに答えを求めたがります。けれども、質問があった際に、すぐに回答を与えてしまうと、次にまた同じようなことがあった時にも、また同じように聞いてくるので、注意しましょう。
3.判断基準に沿った行動の結果については社員を責めない
会社が定めているマニュアルや判断基準に沿って社員が行動した結果、何かしら問題が起こっても、
「なんで、こんなことをしたんだ!!」
と社員を責めないことはとても大事です。
会社が決めたことを守って行動したのに、トラブルが起こったり、経営者の意図と違うことが発生したりする場合、その責任は経営者が負わなければなりません。
その姿勢があってこそ、社員は初めて自分の頭で考えて行動するようになります。
「急がば回れ」でひと手間かける
自分の仕事で忙しい時に、初歩的なことをいちいち聞いてこられると、仕事も中断せざるを得ないので、煩わしいと感じることはごもっともなことです。
そして、時間がない時などは、その場で正解を教えた方が効率的かもしれません。
しかしながら、そのように、その場限りの対応を続けていると、忙しくて自分の仕事に集中したい時に、社員からの下らない質問に時間を取られることになります。
下らない質問がなくならないのは、マニュアルなり、仕事の判断基準なりが、社内の末端まで下っていない証拠です。
- 標準化できるものは言葉として文字に残す
- 標準化しにくいものは判断基準を示す
- 判断基準に沿った行動の結果については社員を責めない
面倒でも一手間かけることで、貴重な経営者の時間を将来的に更に有効活用できるようになります。
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